家庭医学館 「鼓膜穿孔」の解説
こまくせんこうまんせいかのうせいちゅうじえんたんじゅんせいちゅうじえん【鼓膜穿孔(慢性化膿性中耳炎/単純性中耳炎) Perforation of Tympanic Membrane】
鼓膜(こまく)に孔(あな)が開いている(穿孔(せんこう))状態です。急性中耳炎、鼓膜チューブ挿入術(そうにゅうじゅつ)のあとのほか、耳のけが(外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせいこまくせんこう))などが原因でおこってきます。
[症状]
軽い難聴(なんちょう)があります。耳を触りすぎたり、耳に水が入ったりして感染がおこると、膿(うみ)のまじった耳だれ(膿性耳漏(のうせいじろう))が出ます。
[検査と診断]
耳鏡(じきょう)で見ると鼓膜に穿孔があること、聴力(ちょうりょく)検査で軽い難聴があることで診断がつきます。
中等度以上の難聴がある場合は、癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)、鼓室硬化症(こしつこうかしょう)、真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)などが合併していることがあるので、CTなどの詳しい検査が必要です。
[治療]
以前は、鼓膜に自然に放っておいても塞(ふさ)がらない穿孔があると、耳漏が管理できずに髄膜炎(ずいまくえん)をおこして死亡することもありました。
現在では、耳漏に対しては、適切な抗生物質を内服か点耳(てんじ)で使用することで止めることができるようになりました。それでも治りにくい場合には真菌(しんきん)(かび)の感染も疑われるので、抗真菌薬(こうしんきんやく)を使用します。
また、鼓膜穿孔だけならば、穿孔を閉鎖(へいさ)することが容易にできるようになりました。
外来でできる鼓膜穿孔閉鎖法と、短期間の入院が必要な鼓膜形成術とがあります。
[予防]
耳だれを出さないためには、耳に水を入れないことです。お風呂(ふろ)やプールに入るときには、耳せんをするようにしましょう。また、耳かきや綿棒での耳掃除はやめましょう。