鼻茸(読み)ハナタケ

  • (鼻の病気)
  • Nasal polyp
  • びじ
  • びじょう
  • 鼻×茸
  • 鼻茸 nasal polyps

百科事典マイペディアの解説

ポリープともいう。慢性の鼻炎副鼻腔炎蓄膿症)に際して鼻粘膜に生じる炎症性突起物。軟繊維腫で内部に血管や粘液腺も認められる。アレルギーと関連が深い。好発部位は中介と中鼻道。小さいものが多発することもあり,1個で鼻腔全体を占めることもある。鼻閉塞(へいそく),分泌過多,嗅覚(きゅうかく)障害などを招く。治療にはコルチゾンも用いられるが,根治は切除術による。
→関連項目鼻血ポリープ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

鼻粘膜とくに上顎洞および篩骨洞慢性炎症によって自然孔付近より発生する粘膜浮腫。鼻鏡検査では,表面がつるつるした軟らかい蒼白ないしは灰白色光沢あるキノコ状腫瘤として認められる。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)のほかアスピリン過敏症鼻アレルギーの人にもできやすいといわれる。発生原因は,感染,アレルギーなどいくつかあるらしいが,よくわかっていない。組織学的には,扁平上皮が変形したと思われる上皮でおおわれ,血管や細胞は少ないのが普通であるが,ときには軽く触れただけで容易に出血を起こすものもある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

「びじょう」とも読み、ポリープの一種で、鼻ポリープともいう。鼻腔(びくう)の粘膜が炎症によって浮腫(ふしゅ)性に腫(は)れ、有茎の腫瘍(しゅよう)状になったものである。1個だけの場合と小さな鼻茸が多数ある場合とがある。症状は鼻閉(鼻づまり)が主で、このための嗅覚(きゅうかく)減退や頭痛がある。鼻茸にはかならず鼻炎が伴っているので、その症状としての鼻漏過多やくしゃみを伴う。原因は不明であるが、アレルギーに関係しているという説が有力である。中鼻道に好発する。ときに表面が鮮紅色で出血しやすいものがあり、出血性鼻茸といい、鼻中隔に多い。孤立性で上顎洞(じょうがくどう)開口部より出て後鼻孔の方向へ拡張する非常に大きいものがあり、後鼻孔ポリープとよばれ、小児に多くみられる。治療は切除によることが多いが、除去後の治療をよく行わないと再発することが多い。

[河村正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 鼻の粘膜の一部がはれ上がって茸のようになったもの。鼻腔や副鼻腔に慢性炎症があるとき、その刺激によって生ずる。〔名語記(1275)〕
※わらんべ草(1660)二「当代比七太夫、鼻の内に、はなたけ出来、はなに入音ならず」
〘名〙 (「じ」は「茸」の慣用音) はなたけ。
〘名〙 慢性鼻炎や副鼻腔炎などによる分泌物に刺激されて、鼻腔や副鼻腔粘膜が肥厚、隆起して生ずる、一種の腫瘍(しゅよう)。びじ。はなたけ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 副鼻腔粘膜(ふくびくうねんまく)または鼻腔粘膜から生じる炎症性増殖性の腫瘤(しゅりゅう)で、形は、(くき)を有する洋梨状、釣り鐘状で、みずみずしく浮腫状のものから、発赤があるもの、線維性のものなど、多種多様です。また、単房性のもの、多房性のもの、鼻腔内を充満するもの、さらには後鼻孔(こうびこう)方向に発育する後鼻孔鼻茸もあります(図5)。鼻ポリープとも呼ばれています。

原因は何か

 鼻茸の発症の原因は単一なものではなく、種々の因子が関与しているものと考えられています。しかし、鼻茸は副鼻腔炎アレルギー性鼻炎気管支喘息(きかんしぜんそく)の症例での合併が多いため、感染とアレルギーが原因として最も有力です。

 各病気における鼻茸の合併率を表2に示します。

症状の現れ方

 鼻茸をもつ患者さんで、最も頻度の高い症状が鼻づまりです。鼻づまりが両側にわたって高度な場合は両側性鼻茸、あるいは後鼻孔ポリープも疑うべきです。次いで頻度の高い症状は嗅覚障害鼻汁(びじゅう)鼻漏(こうびろう)、頭痛です。また、喘息、アレルギー性鼻炎が合併する場合には、それぞれの症状が伴います。

検査と診断

 まず、問診でアレルギー性鼻炎の有無、気管支喘息の合併の有無、アスピリン過敏性の有無をチェックします。診断は、鼻腔ファイバー(内視鏡)による検査が基本です。通常は、中鼻道から鼻が発生しているのが観察されます。また、内視鏡を用いて後方や上方にも鼻茸がないかどうかを観察します。非常にみずみずしい、高度に浮腫状の鼻茸は、アレルギーの関与がある症例に多い傾向があります。

 また、鼻汁の性状が膿性であるか、粘性であるか、水様性であるかを観察します。さらに、鼻副鼻腔X線やCTなどの画像診断、鼻汁細菌検査、アレルギー検査も行います。これらの検査で、その鼻茸が感染性のものか、あるいはアレルギー性の要素が強いかが推定されます。

治療の方法

 鼻茸の治療の目的は、鼻づまりや嗅覚障害といった鼻茸そのものによる症状を改善することです。次いで後鼻漏や鼻漏、頭重感、睡眠呼吸障害などの付随症状も改善します。さらに、下気道の病気を合併している場合は、鼻呼吸を可能にすること、あるいは後鼻漏が軽減することによって呼吸機能の改善が得られます。

 全身的薬物療法としては、気管支喘息などの合併がなく、膿性あるいは粘膿性の鼻汁を伴う鼻茸の場合は感染型副鼻腔炎に伴う鼻茸の可能性が高いため、14員環系(いんかんけい)マクロライド(エリスロマイシンなど)の少量長期投与(マクロライド療法)を行います。また、アレルギー要素の強いと思われる鼻茸、あるいは喘息の合併する鼻茸に関しては、抗アレルギー薬の内服、ステロイド薬の点鼻が行われます。

 保存療法で効果が得られない場合は、手術療法が選択されます。単なる鼻茸切除だけでは高率に再発を起こすため、内視鏡下で鼻内副鼻腔手術を行って病巣を除去します。

病気に気づいたらどうする

 鼻茸による種々の症状が、日常生活に与える影響は大きいものがあります。鼻づまりがひどく、以前から蓄膿症(ちくのうしょう)慢性副鼻腔炎)やアレルギー性鼻炎といわれたことがある場合は鼻茸ができている可能性があり、耳鼻咽喉科の受診をすすめます。

飯野 ゆき子, 太田 康


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

今日のキーワード

出し子

1 だし汁を取るための干した雑魚(ざこ)。煮干し。2 振り込め詐欺などの犯罪に利用された預金口座から現金を引き出す役をいう隠語。→掛け子 →受け子...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android