駒田 信二(読み)コマダ シンジ

20世紀日本人名事典 「駒田 信二」の解説

駒田 信二
コマダ シンジ

昭和・平成期の小説家,中国文学者,文芸評論家



生年
大正3(1914)年1月14日

没年
平成6(1994)年12月27日

出生地
大阪府大阪市

出身地
三重県芸濃町(原籍)

学歴〔年〕
東京帝国大学文学部中国文学科〔昭和15年〕卒

主な受賞名〔年〕
人間新人小説賞(第2回)〔昭和23年〕「脱出」,イタリア放送協会賞〔昭和32年〕,菊池寛賞(第27回)〔昭和54年〕

経歴
東京帝大在学中から「日本浪曼派」などの同人に加わる。昭和16年旧制松江高校教授となり、17年応召して中国に渡り、21年復員。復員後、松江高校に復職後身の島根大学を30年に退職、上京。その間、23年に「脱出」で人間新人小説賞を受賞。その他の作品に「石の夜」「島」「新墨子物語」「対の思想」などがある。中国文学研究者としての仕事も多く「水滸伝」「今古奇観」「棠陰比事」などの翻訳がある。32〜55年「文学界」の同人雑誌評を担当し、54年には菊池寛賞を受賞。中国文学研究、作家、評論家として幅広く活躍し、桜美林大学教授、早稲田大学客員教授、武蔵野女子大学客員教授などを務めた。51年から朝日カルチャー・センター小説教室講師。他の著書に「新墨子物語」「対の思想」「谿の思想」「一条さゆりの性」など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「駒田 信二」の意味・わかりやすい解説

駒田信二
こまだしんじ
(1914―1994)

小説家、中国文学者。大阪に生まれ、三重県で育つ。東京帝国大学中国文学科卒業。1948年(昭和23)『人間』に発表した『脱出』は、中国での戦争体験に基づくヒューマンな作品で、人間文学賞を受賞(翌年鎌倉文庫刊)。その後も『石の夜』(1957)、『島』(1971)など重厚な小説を刊行。『文学界』の同人雑誌評を長らく担当し、また朝日カルチャー・センターの駒田教室より、芥川(あくたがわ)賞作家の重兼芳子(しげかねよしこ)が出た。『水滸伝(すいこでん)』『棠陰比事(とういんひじ)』『今古奇観』など中国文学の訳書、『私の小説教室』(1981)、『江戸小咄(こばなし)』(1985)などの著書もある。島根大学教授、早稲田(わせだ)大学客員教授を務めた。

紅野敏郎

『『脱出』(『現代の文学38』所収・1974・講談社)』『『島』(1971・筑摩書房)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「駒田 信二」の解説

駒田信二 こまだ-しんじ

1914-1994 昭和後期-平成時代の小説家,中国文学者。
大正3年1月14日生まれ。昭和23年中国での戦争体験をえがいた「脱出」で人間文学賞。ほかに「石の夜」「島」などがある。中国古典に取材した随筆や翻訳でも知られ,訳書に「水滸伝(すいこでん)」など。「文学界」の同人雑誌評を20年あまりつづけ,54年菊池寛賞。島根大,桜美林大,早大の教授をつとめた。平成6年12月27日死去。80歳。三重県出身。東京帝大卒。

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367日誕生日大事典 「駒田 信二」の解説

駒田 信二 (こまだ しんじ)

生年月日:1914年1月14日
昭和時代;平成時代の小説家;中国文学者。桜美林大学教授;早稲田大学客員教授
1994年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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