アメリカ国防総省で使われている軍事用語で、指揮Command、統制Control、通信Communicationsの三つのCに、情報IntelligenceのIを加えたものをいう。日本では「シー・スリー・アイ」の読みが一般的だが、本来の英語の読みでは「シー・キューブド・アイ」(Cの3乗I)になる。コンピュータComputersのCを加えてC4I(シー・クォドルプル・アイ)とすることもあり、また監視Surveillanceと偵察Reconnaissanceを加えたC4ISRや、監視・目標捕捉Target Acquisition・偵察と並べたC4ISTARといった用語もある。C3Iとは、敵に関する情報を収集し処理したうえで、指揮官が判断し、指揮下の部隊に伝えていく過程であり、そのための組織や施設についてもいう。他の用語にしても指揮官の情報収拾の手段を細かく分類しているだけで、基本的には同じ意味になる。指揮統制や偵察のシステム自体は戦争の始まりとともに存在しているが、第二次世界大戦で機械化部隊や航空機が導入されて戦争のテンポが速くなり、戦場は広大になり、会戦の規模も大きくなって、指揮統制と通信の重要性が格段に増した。ミサイルと核兵器の登場で戦後にはいわゆる押しボタン戦争の時代が到来、地球規模の核戦争を分単位で戦うことも想定された。人間に頼った情報処理では戦争の速い展開について行けなくなり、デジタル方式のコンピュータやデータ通信が導入されて、人手を介さない通信や情報処理が一般化した。デジタル・コンピュータを中心に据えたC3Iシステムのはしりには、アメリカ空軍の半自動防空管制組織SAGE(セイジ)(Semi-Automatic Ground Environment)や、アメリカ海軍の海軍戦術データ・システムNTDS(Naval Tactical Data System)があり、ともに1950年代末に開発されて1960年代初めに実用化している。C3Iシステムには、野戦部隊の戦術レベルから戦域司令部の作戦レベル、国家の戦略レベルまでのさまざまな種類があって互いに連携している。戦略レベルの代表的なC3Iシステムとしては、アメリカ国防総省の全世界軍事指揮統制システムWWMCCS(World Wide Military Command and Control System)と、1996年にそれにかわったグローバル指揮通信システムGCCS(Global Command and Control System)があって、大統領・国防長官(あわせて国家指揮権限とよぶ)からの命令を各作戦部隊に伝えている。戦術レベルではNTDSが代表的で、艦艇と航空機をデジタル・データリンクで結んで情報交換している。防衛省の中央指揮システム(CCS)は日本における戦略レベルのC3Iシステムということができ、陸海空の自衛隊にもそれぞれの作戦レベルや戦術レベルのC3Iシステムがある。
[野木恵一]
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