D型肝炎ウイルス(HDV:hepatitis D virus)に感染して発症する肝炎。HDVはB型肝炎ウイルス(HBV:hepatitis B virus)に感染している状態でのみ感染し、欠損ウイルス(不完全ウイルス)であるHDVに単独で感染することはない。すなわちHBVと同時にHDVに感染するか、HBVに感染している状態で重感染(重複感染)するかのいずれかである。経口感染することはなく血液や体液を介して感染する。同時感染の場合はB型とD型の複数の肝炎が急性に発症するため重症化する傾向が強く、肝臓壊死(えし)が急激に広範囲に広がり、肝不全を起こす劇症肝炎に陥る確率も高くなる。重感染の場合は、急性に発症したB型肝炎が慢性肝炎に移行し、慢性化したB型肝炎に急性のD型肝炎が加わり肝炎の急性増悪が多くみられ、D型肝炎もともに慢性化していく場合もある。いずれも肝硬変から肝癌(がん)へと重症化していく可能性があり注意が必要である。ほとんどはB型肝炎が治癒するとともにD型肝炎ウイルスの増殖もとまり治癒に向かう。HDV抗体陽性率は地域差があり、地中海地方や北欧、中東、アフリカ北東部で高く、日本ではまれである。
[編集部]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
D型肝炎ウイルス(HDV)の感染によって発症します。HDVの構造は、表面がHBs抗原でおおわれ、中心部にデルタ抗原があり、そのなかにRNA遺伝子をもっています。このことからもわかるように、B型肝炎ウイルス(HBV)と仲のよいウイルスです。
感染源は、B型肝炎患者あるいはキャリア(持続感染者)の血液で、このなかにHDVがひそんでいます。
HDVの感染のしかたには2種類あります。健康な人に、初めてHBVと同時に感染する場合と、もともとB型肝炎になっている人に重複感染する場合です。D型肝炎は重症化することがあるので注意が必要です。
日本ではD型肝炎はまれですが、外国では
感染予防は、B型肝炎の予防と同じです。HBs抗体含有ガンマグロブリンやHBワクチンが有用です。
D型肝炎は、B型肝炎にしては状況が違うという時に初めて気がつくことが多く、疑って検査をしないと診断ができません。専門医への受診をすすめます。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新