free on boardの略。貿易取引条件の一種で、わが国では「本船渡し」ともいう。売り主が船積港で買い手の指定する本船に契約品を船積みすることにより、売り主としての義務を免れる(free)ことで、この旨の約款をFOB約款FOB termsという。売り主は買い手の手配した船舶に契約に定められた期間内に約定品を積み込む義務を有し、積込みまでのいっさいの危険、費用を負担する。買い主は船積期間内に船積港に船舶を回航させる義務があり、積込み後(物品の引渡しを受けたのち)の危険、費用は買い手の負担となる。代金は船荷証券と引き換えに支払われるのが普通で、輸入貿易に多く用いられる。以上のように、船積港(輸出港)における本船への約定品引渡し(FOB delivery)を条件に、本船渡し値段(FOB price)を採算、算定して、それに基づいて売買契約を結ぶ慣例をFOB慣習またはFOB契約という。
なお、このような国際的な慣用としてのFOB(本船渡し)に対して、アメリカでは、FOBを船舶への積込みだけでなく、その他の運送機関への積込みの意味も含めて用いているので、「本船渡し」の条件を示すにはFOB Vessel (Steamer)と表示する。
[鳥谷剛三]
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