カジノを中心に宿泊施設、テーマパーク、商業施設などを一体的に整備する統合型リゾート(IR:Integrated Resort)の設立を推進する基本法。議員立法として、2016年(平成28)12月に公布・施行された。正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年法律第115号)。日本で禁じられたカジノ解禁につながることから「カジノ法」「カジノ解禁法」「カジノ推進法」ともよばれる。IR推進法の制定を受け、政府は2018年にIRの整備・運営ルールを定めたIR実施法やギャンブル等依存症対策基本法を制定し、2020年代なかばには日本初のIR施設が開業する見通しである。
IRは、カジノの収益をてこに、ホテルなどの宿泊施設、国際会議場、テーマパーク、商業施設、ブランド店、レストラン、フードコート、劇場・映画館、プール・スポーツ施設などを一体的に整備したリゾート施設。20世紀末から21世紀初めにかけてシンガポール、韓国、オーストラリアなどでIR施設の開業ラッシュが続き、外国人観光客の誘致に一定の成果をあげた。日本では、2002年に自民党の国会議員有志によるカジノ議員連盟が発足し、2014年には安倍晋三(あべしんぞう)政権が成長戦略に、IRの検討を進めると明記した。IR推進法は、IRを観光振興や地域活性化につながる施設が一体的に整備された区域と定義し、適切な国の監視と管理のもとで、民間事業者が運営すると規定している。ただカジノ解禁でギャンブル依存症の増加や反社会的勢力の介入などの問題が生じるおそれがあるため、実際のIR整備・運営はIR実施法に基づき、自治体が申請して国が認定する。
[矢野 武 2019年1月21日]
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