病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「BRAF阻害剤」の解説
BRAF阻害剤
《エンコラフェニブ製剤》
ビラフトビ(小野薬品工業)
《ダブラフェニブメシル酸塩製剤》
タフィンラー(ノバルティスファーマ)
《ベムラフェニブ製剤》
ゼルボラフ(中外製薬)
転移性の悪性黒色腫では、細胞増殖などのシグナル伝達で重要な役割を果たしている蛋白質(キナーゼ蛋白質)のひとつであるRAFのBRAF V600遺伝子に変異が起こることでガン細胞が異常に増殖します。BRAF阻害剤は、この変異したBRAFを阻害し、ガン細胞の増殖抑制、細胞死を誘導することで抗腫瘍作用を発揮すると考えられています。
BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫の治療に用います。
①
エンコラフェニブ製剤では、ケラトアカントーマや基底細胞ガンなどの皮膚ガン、網膜障害などの眼障害、心機能障害、肝機能障害、横紋筋融解症、高血圧、高血圧クリーゼ、消化管出血などの出血、手掌・足底発赤知覚不全症候群が現れることがあります。このような症状が現れたときは、使用を中止して、すぐに医師に報告してください。
②そのほか、脱毛症、過角化症、かゆみ、関節炎、吐き気、下痢、頭痛、疲労、めまい、皮膚乳頭腫、呼吸困難などが現れることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。
①ベムラフェニブ製剤は錠剤、ダブラフェニブメシル酸塩製剤はカプセル剤で、1日2回服用します。使用にあたっては食事の影響を避けるため、食事の1時間以上前、または食後2時間以降に服用してください。エンコラフェニブ製剤はカプセル剤で1日1回の服用です。副作用が現れた場合は、減量や休薬が必要となることがあるので医師の指示に従ってください。
②この薬の成分に過敏症のある人、ダブラフェニブメシル酸塩製剤では、妊婦、妊娠している可能性のある人は使用できません。また、肝機能障害がある人、心疾患またはその病歴がある人、抗不整脈剤や制酸剤など、他の薬剤を使用中の人には使用できないことがあります。
③ブドウ膜炎など重い眼障害が現れることがあるので、目に異常を見つけたときは、すぐ医療機関を受診してください。
④ベムラフェニブ製剤は光線過敏症が現れることがあるので、外出時には帽子や衣類での遮光や、日焼け止めを使用するなど日光やUV光線を避けてください。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報