インターネットを使って商品の売買をしたり、契約をしたりすることの総称。略してEC、またはEコマースともいう。電子商取引は大きく三つに分かれる。(1)企業が個人客に直接に商品を販売する「B to C(Business to Consumer)」、(2)企業どうしでの取引や決済を行う「B to B(Business to Business)」、(3)オークションや「売ります、買いますコーナー」のような個人が個人に対してなんらかの物を販売する「C to C(Consumer to Consumer)」といわれているものである。
電子商取引で扱われる商品は物品だけではなく、コンサートや航空券などのチケット予約、さまざまな有価証券、保険商品など、そして音楽、小説、コミック、動画などのデジタルコンテンツも取り引きされている。
電子商取引は商品を販売したい事業主や個人がサーバーシステムをもたなくても、販売のためのサーバーシステムを提供する専門の事業者もあり、だれでも比較的容易に参入することができる。
また電子商取引は従来の通信販売やカタログショッピングの置換えとしての役割があったが、検索技術の向上により、書籍、音楽CDなどのような多品種な商品のなかから消費者が求めているものを適切にマッチングさせ、販売店と消費者の双方にとって効率よく売買ができるようになった。その結果、特定の少数の消費者にしか関心がなかったものを販売できるようになり、ロング・テールとよばれる新しいマーケティング理論が登場するようになってきた。
一方で、電子商取引が一般化することにより、消費者をだまして詐欺行為をはたらく犯罪も増加している。著名な金融機関、販売店とそっくりなウェブページやURLを使いクレジットカード番号、暗証番号などを詐取したり、振込みを行わせたりするような手口である。こうした問題は個人が留意することはもちろんのこと、法整備、あるいは産業界全体での取組みが課題となっている。
[中島由弘]
『アンドリュー・B・ウインストン、デール・O・スタウル、崔淳容著、香内力訳『電子商取引の経済学――オンライン・エコノミックス概論』(2000・ピアソン・エデュケーション)』▽『時永祥三・譚康融著『電子商取引と情報経済』(2001・九州大学出版会)』▽『館龍一郎監修、日本銀行金融研究所編『電子マネー・電子商取引と金融政策』(2002・東京大学出版会)』▽『日弁連法務研究財団編『電子商取引の法的課題』(2004・商事法務)』▽『時永祥三・松野成悟著『オープンネットワークと電子商取引』(2004・白桃書房)』▽『吉川達夫編著『電子商取引法ハンドブック』(2008・中央経済社)』
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…一つは,ユーザーの電子秘書として働くもので,スケジュール管理や電子メール処理などを行う。他の一つは,ネットワークを通じて送出され,遠隔ホスト上で動作するプログラムで,電子商取引を想定した開発が盛んである。携帯端末からの情報検索やファイル操作にも利用できる。…
…また,電子切手(e-stamp)は世界のインターネット郵便局の担い手になろうとしている。電子商取引をEC(Electronic Commerce)あるいはCALS(Commerce At Light Speed)ということがある。CALSはまた,Computer-Aided Logistics Supportと解釈すると,ネットワークを用いた資材調達・製造を意味する。…
※「電子商取引」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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