翻訳|indicator
広くは指示計器,あるいは指(表)示部などのことであるが,単にインジケーターといった場合には指圧計,すなわちピストンエンジン,蒸気機関,往復式気体圧縮機などピストン式機械のシリンダー内ガス圧力を検出,観測する計器および装置を指すのがふつうである。これを用いて,シリンダー内圧力とクランク回転角(時間),あるいはピストン行程(シリンダー内ガス容積)との関係を線図として記録したものを,インジケーター線図といい,その解析により,燃焼の状況,弁作動の状況など,エンジンの研究,開発に重要な情報が得られ,また稼働中の機械の性能・動作モニターにも利用できる。インジケーター線図(圧力-行程容積線図)が囲む面積を計算すると,ガスがピストンに対して行う熱力学的な仕事(図示仕事あるいは図示馬力)が直接求められる。インジケーターは,さまざまなものが考案,実用化されているが,エンジン用としては100気圧を超えるような各サイクルの繰返し衝撃圧力に耐え,しかも高温・多湿などの悪条件下で,高速,高感度の観測を長時間にわたって安定に実現することに技術的な困難があり,決定的といえるものは出現していない。かつて蒸気機関に利用されたインジケーターは,受圧ピストンおよびばね,てこを利用した機械式のもので,取扱いは容易であるが高速現象に追随できず,低速の機械にしか使用できない。その後,受圧部を膜とし,剛性を高め,より高速の機関に適用可能な構造のものが実用化され,微小な膜部の変形を検出するため,機械的・光学的・電気的拡大法が種々発達した。現在では,電気的手法のうち,抵抗線ひずみ計および圧電素子を利用したものが比較的よく使われる。なお,連続的に圧力を検出するのでなく,各サイクルの特定のクランク角における圧力値,あるいは,特定の圧力に達するクランク角度をストロボ式に検出し,高速現象を低速現象に変換する方式のインジケーターもある。
執筆者:酒井 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ガソリンエンジン、蒸気機関など往復動熱機関シリンダー内の圧力の変化とピストン位置(または、クランク角度)との関係を測定する計測器。圧力の記録方法で電気式、機械式、光学式がある。このなかで圧電効果などを利用する電気式が計測器を小型化できるため、エンジンへの取り付けの容易さから広く用いられている。この計測器で測定したシリンダー内圧力と容積の関係を示す線図をインジケーター線図といい、線図で時計回りに囲まれた面積はピストンから外に取り出せる仕事を表し、反時計回りに囲まれた面積は外からされる仕事を表すので、線図で囲まれた面積からシリンダー内ガスがピストンにする仕事である図示馬力が求められる。この線図を両対数グラフで表した線図で弁の開閉時期、点火時期の適否などがわかり、エンジンの性能向上の研究に重要な役割をもっている。
[吉田正武]
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…溶液内の化学反応などに関して,当量点のような反応の進行段階を知るために加える試薬。シュウ酸ナトリウムを過マンガン酸カリウムで酸化還元滴定する場合は,当量点で過マンガン酸イオン自身の赤紫色が現れはじめるので,別に指示薬を加えなくとも終点がわかる。しかしこれはむしろ例外であって,一般には反応がどこまで進行したかは外見上わかりにくい。そこで反応に伴う溶液のpHとか酸化還元電位といった適当な物理的性質の変化を装置を用いて測定すればよいのであるが,指示薬の色の変化などから知る方法は比較的簡単でもあり,酸塩基指示薬をはじめ多くの指示薬が古くからよく利用されている。…
…生物の生育場所は広域的には地史にも影響されるが,個々の地域では歴史的な由来よりも環境条件に支配されることが多い。生物の種によって,それが生育できる環境は決まっているが,いくつかの種では環境との相関がはっきりしていて,その種の生育いかんでその場所の環境を推定できることがある。そのような生物を指標生物というが,移動量の大きい動物よりも定着生活をする植物のほうが典型的に環境を指標する例が多いことから,指標植物indicator plantがとり上げられることが多い。…
※「インジケーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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