貿易や外国為替(かわせ)取引に対する国家の直接的な統制や管理を緩和あるいは撤廃したり、また資本の対外投資や対内投資が自由に行われるよう国際間の資本移動の制限・規制を除去することをいう。自由化は、比較優位の原理に基づき国際分業を進め、自由な国際取引が行われる国際経済体制を実現しようとするものである。とくに第二次世界大戦後、1930年代の世界的大不況期における為替切下げ、高率関税、輸入制限などが国際貿易の縮小、世界経済の停滞・破壊をもたらしたことへの反省から、国際取引をできる限り自由化することが求められた。そのため、貿易・為替取引の自由化を進める国際機関としてIMF(国際通貨基金)とガット(GATT、関税および貿易に関する一般協定)、またガットの発展的機関であるWTO(世界貿易機関)が創設され、また資本取引や貿易外経常取引に対しては、OEEC(ヨーロッパ経済協力機構)およびその後身のOECD(経済協力開発機構)が自由化を積極的に進める役割を担った。わが国においても自由化は着実に進展し、1980年(昭和55)12月には、従来の「原則禁止・例外自由」から「原則自由・有事規制」を理念とする新たな「外国為替及び外国貿易管理法」が改正・施行され、経常取引上の制限の緩和・撤廃が行われ、資本取引の自由化が進められた。さらに1998年(平成10)4月「外国為替及び外国貿易法」(改正外為法)が施行され、法律から「管理」の文字は削除され、基本的にわが国の金融・資本市場の完全自由化が達成されることになった。
[秋山憲治]
『S・フィッシャー他著、岩本武和監訳『IMF資本自由化論争』(1999・岩波書店)』▽『OECD著、河合伸訳『市場自由化の重要性 貿易・投資自由化の利益』(1999・中央経済社)』
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