オーストラリア大陸の中東部にある広大な鑽井盆地で,同国の数多い鑽井盆地の中で最も広い。面積約170万km2。オーストラリア大陸の三大地形区分の一つである中央低地の北部を占め,エア湖内陸流域とダーリング川流域との大部分を包含する。古生層の地向斜の上に中生層が堆積した堆積盆地で,さらにその上に中央部では第三紀層が堆積しており,地表はほとんど平たんである。〈盆地〉とは地帯構造上の特徴を示す呼称であって,日本で盆地というときのような,地表の地形あるいは地方を示す意味はもたない。地表の景観は平原というべきであり,地方名としてはチャンネル・カントリーなどのように部分的に別の地名が定着している。地下の不透水層にはさまれた透水層(とくにジュラ紀から白亜紀の砂岩)に,東部高地の降水によって涵養された被圧地下水(鑽井水)がたまっており,数千本の掘抜井戸によってくみ上げて牧畜用に利用される。塩分濃度が高く,農業用には適さない。この地下水利用は1879年に始まり,1915年に頂点に達したが,その後利用量が減少してきており,自噴井が減ってきている。大鑽井盆地の地下水は他に水資源の得られない乾燥地域の重要な水資源ではあるが,地下水供給量(年間約2億m3)は,降水量に換算すると0.1mmに相当するにすぎず,シドニー近郊のダムの貯水量の10分の1程度にすぎない。
執筆者:谷内 達
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オーストラリア大陸北東部にある世界最大の鑽井盆地。面積約170万平方キロメートル。同大陸の三大地形区分の一つ中央低地の北部にあたり、エア湖内陸流域(エア湖に流入する内陸河川の流域)とダーリング川流域を包含する。古生層の地向斜の上に中生層が堆積(たいせき)した堆積盆地で、その後の第三紀層の堆積も加え、地表はほぼ平坦(へいたん)である。不透水層に挟まれた透水層(とくにジュラ紀~白亜紀の砂岩)に、東部高地の降水に涵養(かんよう)された被圧地下水(鑽井水)がたまり、約3000本の掘り抜き井戸によって牧畜用に利用されている。塩分濃度が高く、農業用には適さない。ほかに水資源の得られない乾燥地域の水資源として重要であるが、地下水供給量(年間約2億立方メートル)は年降水量に換算して0.1ミリメートル、シドニー近郊のダムの貯水量の10分の1にすぎない。1879年以来利用され、1915年にピークに達したが、その後、過大な利用に伴う被圧地下水の圧力減少により利用量が減少し、自噴井も減ってきており、風車あるいはポンプによる揚水が主になってきている。
[谷内 達]
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