大鑽井盆地(読み)ダイサンセイボンチ(英語表記)Great Artesian Basin

デジタル大辞泉 「大鑽井盆地」の意味・読み・例文・類語

だい‐さんせいぼんち【大鑽井盆地】

オーストラリア東部に広がる大規模な盆地深層被圧地下水を掘り抜き井戸によって利用し、降水量不足を補い、牧畜が行われる。グレートアーテジアン盆地。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「大鑽井盆地」の意味・読み・例文・類語

だい‐さんせいぼんち【大鑽井盆地】

  1. オーストラリア中東部にある大盆地地中不透水層に挟まれた被圧地下水鑽井水)があり、掘り抜き井戸を掘ると自噴するものもある。水は塩分を含むため農業には適さず、牧畜に利用される。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「大鑽井盆地」の意味・わかりやすい解説

大鑽井盆地 (だいさんせいぼんち)
Great Artesian Basin

オーストラリア大陸の中東部にある広大な鑽井盆地で,同国の数多い鑽井盆地の中で最も広い。面積約170万km2。オーストラリア大陸の三大地形区分の一つである中央低地の北部を占め,エア湖内陸流域ダーリング川流域との大部分を包含する。古生層の地向斜の上に中生層が堆積した堆積盆地で,さらにその上に中央部では第三紀層が堆積しており,地表はほとんど平たんである。〈盆地〉とは地帯構造上の特徴を示す呼称であって,日本で盆地というときのような,地表の地形あるいは地方を示す意味はもたない。地表の景観は平原というべきであり,地方名としてはチャンネル・カントリーなどのように部分的に別の地名が定着している。地下の不透水層にはさまれた透水層(とくにジュラ紀から白亜紀砂岩)に,東部高地の降水によって涵養された被圧地下水(鑽井水)がたまっており,数千本の掘抜井戸によってくみ上げて牧畜用に利用される。塩分濃度が高く,農業用には適さない。この地下水利用は1879年に始まり,1915年に頂点に達したが,その後利用量が減少してきており,自噴井が減ってきている。大鑽井盆地の地下水は他に水資源の得られない乾燥地域の重要な水資源ではあるが,地下水供給量(年間約2億m3)は,降水量に換算すると0.1mmに相当するにすぎず,シドニー近郊のダムの貯水量の10分の1程度にすぎない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大鑽井盆地」の意味・わかりやすい解説

大鑽井盆地
だいさんせいぼんち
Great Artesian Basin

オーストラリア中東部の広大な鑽井 (掘抜き井戸) 盆地。面積約 175万 km2。鑽井盆地としては世界最大。クイーンズランド州南西部を中心に,ニューサウスウェールズ州,サウスオーストラリア州,ノーザンテリトリーにまたがる。低い丘と広い谷が連なる準平原状の乾燥地域。おもにダーリング川,エア湖の流域で,湖は海面より低く,河川は大部分が間欠河川。ジュラ紀の湖成堆積層を中心とし,豊かな滞水層を有する向斜層構造が発達し,最も深いところで 2000m以上に達する。実際自噴する井戸は約 30%ほどで,次第に自噴しなくなる場合や,初めからポンプなしには水を得られない場合もあり,未開発地域も多い。鑽井により水を得られるところは牧畜地域となり,北部では牧牛,中・南部では牧羊が行われる。水質は一般に農業には適さない。このほかマリー川流域,バークリー台地,オード川,ビクトリア川流域,ナラボー平原,グレートサンディー砂漠 (キャニング盆地) ,ガスコイン川流域などに鑽井・亜鑽井盆地が発達しているが,ガスコイン川流域 (カーナーボン付近) を除くと,この大鑽井盆地に比べてほとんど利用されていない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大鑽井盆地」の意味・わかりやすい解説

大鑽井盆地
だいさんせいぼんち
Great Artesian Basin

オーストラリア大陸北東部にある世界最大の鑽井盆地。面積約170万平方キロメートル。同大陸の三大地形区分の一つ中央低地の北部にあたり、エア湖内陸流域(エア湖に流入する内陸河川の流域)とダーリング川流域を包含する。古生層の地向斜の上に中生層が堆積(たいせき)した堆積盆地で、その後の第三紀層の堆積も加え、地表はほぼ平坦(へいたん)である。不透水層に挟まれた透水層(とくにジュラ紀~白亜紀の砂岩)に、東部高地の降水に涵養(かんよう)された被圧地下水(鑽井水)がたまり、約3000本の掘り抜き井戸によって牧畜用に利用されている。塩分濃度が高く、農業用には適さない。ほかに水資源の得られない乾燥地域の水資源として重要であるが、地下水供給量(年間約2億立方メートル)は年降水量に換算して0.1ミリメートル、シドニー近郊のダムの貯水量の10分の1にすぎない。1879年以来利用され、1915年にピークに達したが、その後、過大な利用に伴う被圧地下水の圧力減少により利用量が減少し、自噴井も減ってきており、風車あるいはポンプによる揚水が主になってきている。

[谷内 達]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「大鑽井盆地」の意味・わかりやすい解説

大鑽井盆地【だいさんせいぼんち】

オーストラリア中央の東部,大分水山脈西側の広大な地域を占める盆地。Great Artesian Basinという。白亜紀以後の地殻沈下の繰返しで,滞水層と不透水層が幾重にも重なり,上層の不透水層を貫けば地下水が自噴する。このため掘抜井戸が多く,降水量の少ない盆地の放牧(羊,牛)に大きな役割を果たしているが,塩分濃度が高く,農業用には適さない。
→関連項目サウス・オーストラリア[州]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android