投影法(読み)とうえいほう(英語表記)Projective Techniques

日本大百科全書(ニッポニカ)「投影法」の解説

投影法
とうえいほう
Projective Techniques

個人の活動、とくにその認知活動にはその個人特有の人格特性が反映している、という考えに基づいて、多かれ少なかれあいまい(多義的)な刺激、または状況を与えることによって個人の特徴的な反応を誘発させ、人格特性や病的傾向をとらえようとする人格評価法の総称。スイスの精神科医ユングの言語連想検査や、ロールシャッハHermann Rorschach(1884―1922)のインク・ブロットinkblot(インキしみ)による精神診断学Psychodiagnostikなどの出現に刺激されて、とくに1930年代に多くの試みが現れ、それらを総括する名称として1939年にアメリカの社会科学者L・フランクLawrence Kelso Frank(1890―1968)が投影法の名を提唱した。

 客観的ないし統計的規準に照らして個人をなんらかの尺度上に位置づけようとする標準検査に対して、投影法は個人そのものを深く理解するための手掛りをとらえようとする点に特徴がある。標準検査に比較して、その利用には高度の心理学的知識と熟練が必要で、解釈・診断の妥当性・信頼性の客観的検証が困難だとの批判もあるが、大部分の投影法は、ことばの話せる相手ならほとんどだれにでも適用できる、決まった正解というものがなく、解釈原理を推測するのがむずかしいので、作為的に自分を偽ってみせようとしてもほとんど不可能である、しばしば本人さえ気づいていないような深層の特性を探り出すことができる、など、多くの利点があり、広く用いられている。

 ロールシャッハ・テストなどの知覚や連想を分析するもの、TATなどの空想から欲求などの内的過程を推定するもの、描画などの表現活動を通じて人格の機能をみようとするものなど、種々の方法がある。大半は人格の解釈・診断を目的とするが、箱庭療法、心理劇などのように心理療法を目ざすものもある。

[冨田正利]

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百科事典マイペディア「投影法」の解説

投影法【とうえいほう】

空間にある物の影を平面上に作ることを投影または投象といい,直交する平面(投影面という)を設け,これに平行光線を垂直に入射させる正投影法,斜めに入斜させる斜投影法や,透視法がある。製図上用いられるのは正投影法である。いま直交する2平面を考えたとき,四つに仕切られた空間をそれぞれ第1象限,第2象限,第3象限,第4象限と名づけ,製図ではこのうちの第1象限(ヨーロッパ式)または第4象限(アメリカ式)に物を置いて投影し,それぞれ第1角法,第3角法と呼ぶ。投影面としては,垂直投影面,水平投影面のほか必要に応じて側投影面を設け,各面に得られる投影図を正面図,平面図,側面図という。日本の製図規格では,原則として第3角法を用いることとしている。この画法では正面図を中心に上に平面図,下に下面図,左右にそれぞれ左右側面図が配置される。→立体図学

投影法【とうえいほう】

地図投影法

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「投影法」の解説

投影法
とうえいほう
projective method

投射法ともいう。一種パーソナリティ検査法。人に多義的刺激を与え,それに対する反応仕方により,個人の隠された欲求特徴を明らかにすることを目的とする。その資料処理の仕方は洞察的,了解的であるため,パーソナリティの診断にはかなりの経験を必要とする。代表的なものとして,ロールシャッハ・インクブロットテスト絵画統覚テスト文章完成法などがある。

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精選版 日本国語大辞典「投影法」の解説

とうえい‐ほう ‥ハフ【投影法】

〘名〙
※他人の顔(1964)〈安部公房〉黒いノート「それを網目投影法によって地図のような等高線に分割しながら」
② 人格診断法。あいまいな刺激材料を使って被験者に反応させ、その反応のしかたに欲求、感情などの潜在的な特徴を見出そうとするもの。投射法。

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デジタル大辞泉「投影法」の解説

とうえい‐ほう〔‐ハフ〕【投影法】

投影図法」に同じ。
意味のあいまいな絵などを見せて解釈させ、表出された傾向を分析して心の内面や性格を診断する方法。ロールシャッハ‐テストやTATなど。投射法

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