共同通信ニュース用語解説 「療育手帳」の解説
療育手帳
自治体が発行する知的障害者向けの障害者手帳。手帳があると、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体、民間事業者が提供するサービスを受けることができる。2021年度末時点で、約121万人が取得。児童相談所か知的障害者更生相談所で対象かどうか判定する。障害の重さを表す区分がある。
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自治体が発行する知的障害者向けの障害者手帳。手帳があると、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体、民間事業者が提供するサービスを受けることができる。2021年度末時点で、約121万人が取得。児童相談所か知的障害者更生相談所で対象かどうか判定する。障害の重さを表す区分がある。
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知的障害と判定された人を対象に、都道府県知事または政令指定都市市長から交付される手帳。知的障害児・者に対する一貫した指導や相談を通じて、各種の援助措置を受けやすくすることが目的である。1973年(昭和48)に厚生省(現、厚生労働省)によって策定された技術的助言(ガイドライン)に基づき、各都道府県によって療育手帳制度の実施要綱が定められた。地域によって別称を併記できるため、愛の手帳(東京都)、みどりの手帳(埼玉県)などの名称でよぶ自治体もある。2011年(平成23)における手帳所持者数は、65歳未満が55万9800人(男性32万2900人、女性23万6900人)、65歳以上が6万1900人(男性3万1900人、女性2万9000人)、年齢不詳の人が1000人。
発行の際は、交付対象者が市町村窓口に申請し、18歳未満は児童相談所、それ以上の人は知的障害者更生相談所によって、知的障害の程度などが判定される。障害の判定は、知的障害の程度と生活における行動面から行われ、具体的な基準や区分は自治体によって若干異なる場合がある。一般的な区分としては、重度(A)とそれ以外に分けられる。重度(A)は、以下にあげる(1)または(2)のいずれかに該当する者である。(1)知能指数がおおむね35以下で、食事や着脱衣、排便および洗面などの日常生活の介助を必要とする者、あるいは異食、興奮などの問題行動を有する者。(2)知能指数がおおむね50以下であって、盲、ろうあ、肢体不自由などを有する者。また、上記の重度(A)に該当しない者は、それ以外として区分される。障害の程度は時間の経過などによって変化が見込まれるため、原則として2年ごとに再判定を受ける必要がある。
療育手帳の交付を受けることで、国や地方、企業、団体などによって設けられた援助措置が受けられる。サービスの内容は各自治体によって異なるが、そのおもなものとしては、特別児童扶養手当、心身障害者扶養共済、国税および地方税の諸控除や減免、公営住宅の優先入居、日常生活用具給付、NHK受信料の減免、JRや航空旅客運賃の割引、生活保護の障害者加算、生活福祉資金貸付、携帯電話使用料の割引、公共施設の利用料割引などがある。
近年は、知的障害を伴わない高機能自閉症や、コミュニケーションがうまくとれないアスペルガー症候群など発達障害の人が療育手帳を申請するケースが増えているが、その際、知能指数の高さが判定に影響して交付されないケースが問題になっている。このようなケースを考慮して基準を見直すか、別の手帳制度を設けることが求められている。
[編集部 2016年7月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(2014-9-26)
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