障害者総合支援法(読み)ショウガイシャソウゴウシエンホウ

デジタル大辞泉 「障害者総合支援法」の意味・読み・例文・類語

しょうがいしゃそうごうしえん‐ほう〔シヤウガイシヤソウガフシヱンハフ〕【障害者総合支援法】

《「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の略称障害のある人が、住み慣れた地域で自立した日常生活や社会生活を送るために必要な支援を総合的に行うことを定めた法律。同法による支援は、障害福祉サービスを含む自立支援給付と、各市町村が地域の特性や状況に応じて行う地域生活支援事業に大別される。平成17年(2005)年、障害者自立支援法として制定。平成24年(2012)に改正・改題。平成25年度(2013)から難病のある人も同法の対象に含められた。

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共同通信ニュース用語解説 「障害者総合支援法」の解説

障害者総合支援法

2006年施行の障害者自立支援法を改正し、13年に施行された。障害のある人が基本的人権のある個人として、その尊厳にふさわしい生活を送ることができるよう必要となる福祉サービス在り方を定める。「全国民が人格個性を尊重し合い、共生する社会の実現」を基本理念とし、行政にサービス提供体制の確保、事業者には利用者の立場に立った支援を求めている。法令に違反した事業者には都道府県が指定取り消しや勧告命令などの処分ができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「障害者総合支援法」の意味・わかりやすい解説

障害者総合支援法
しょうがいしゃそうごうしえんほう

障害者が障害の程度や心身の状態などに応じて受けられる福祉サービスを定め、地域社会における日常的な生活を総合的に支援するための法律。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号)。改正障害者基本法を踏まえ、障害者自立支援法の一部を改正し、2012(平成24)年6月成立、2013年4月に施行。

 2000年に制定された社会福祉法は、「個別給付型社会福祉」を脱却して「地域生活支援型社会福祉」を目ざしたが、障害者自立支援法の制定をめぐっては、なお旧来の「個別給付型社会福祉」を期待する考え方があり、サービスに対する一部費用負担(応益負担)に関し異論があった。またこれにかかわる問題では多くの訴訟を抱えるなどしたため、障害者団体との協議機関を設け、その提言を骨格に改正案の立案を進めてきた。

 障害者自立支援法からのおもな改正点は以下の4点である。(1)制度の谷間を埋めるため、障害者の範囲に「難病等」が加えられた。(2)従来の「障害程度区分」を改め、障害の程度の判断に心身の状態を配慮することができる「障害支援区分」を創設した。(3)障害者に対する支援として、重度肢体不自由等で常時介護を要する重度訪問介護の対象を拡大した。共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助グループホーム)に一元化した。また、障害者の地域での生活に関する支援、啓発活動を拡大した。(4)障害福祉サービス等の提供体制を確保するサービス基盤の計画的な整備を行う。

 また、難病の障害者範囲の追加や重度訪問介護サービスの対象拡大は実現したが、障害福祉サービスのきめ細かな充実、障害支援区分の認定を含めた支給決定の見直しなどの提言の多くは、施行後3年をめどに再検討することになった。

 なお、社会福祉基礎構造改革における(1)措置から契約へ、(2)個人の自立支援、(3)福祉の市場化、(4)競争原理の導入等といった考えに基づき、市町村に一元化して、身体・知的・精神などの障害者種別を超え共通するサービスを提供する、という趣旨は生かされている。障害者の支援に関して、民法における扶養義務の改正(障害者の自立性を尊重し、障害者本人が支払える応能負担制度となるよう、扶養義務者の範囲を再検討すること)、障害基礎年金の拡充(障害者が自立した生活を送るために十分な給付額を再検討すること)など、手をつけられないまま、附則第3条の検討規定にも盛り込まれなかった内容が少なくない。

[吉川武彦]

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知恵蔵 「障害者総合支援法」の解説

障害者総合支援法

障害者や障害児、難病患者が、地域社会において、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい生活を営むために、福祉サービスの給付や地域での生活支援に関わる人材育成などの総合的な支援を行うことを定めた国の法律。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」。
2005年に制定、06年に施行された障害者自立支援法が、12年に改正・改題された法律で、13年、14年と段階的に施行された。法律の附則で、施行後3年をめどに検討を行うと規定されたため、15年から厚生労働省の社会保障審議会で本格的な見直しが行われ、16年5月に改正法が成立した。改正法は、18年4月から施行される。
障害者総合支援法の前身である障害者自立支援法では、それまで障害の種類ごとに異なっていた福祉サービスを一元化することを定めたが、利用者の費用負担が増えたことなどから障害者団体が反発し、各地で訴訟が起こるなどした。このため、国は障害者団体と協議しながら改正案を作成した。
障害者総合支援法では、次に挙げる点などが、障害者自立支援法から改正されている。(1)支援対象を見直し、これまでの身体、知的、精神障害者に加えて難病患者を追加(対象の難病は、当初は130疾患、その後徐々に増え、16年4月現在で332疾患)、(2)心身の状態に配慮して障害の程度を判断し、必要な支援を示す「障害支援区分」を創設、(3)重度訪問介護の対象を拡大し、共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)に一元化、(4)福祉サービスなどの提供体制を確保する基盤の計画的整備。
更に、16年に成立した改正法には、65歳を機に介護保険サービスへ移行する障害者の自己負担軽減や、自立支援や就労定着支援などの拡充、外出が難しい障害児の自宅を訪問して発達支援をするサービスの新設などが盛り込まれた。

(南 文枝 ライター/2017年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「障害者総合支援法」の意味・わかりやすい解説

障害者総合支援法
しょうがいしゃそうごうしえんほう

平成17年法律123号。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」。2006年施行の障害者自立支援法が 2012年6月に一部改正・改題され,2013年4月,2014年4月に段階的に施行された。障害者基本法の基本理念にのっとり,障害者,障害児,一定の難病(332疾病)患者が,基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活・社会生活を営むことができるように,必要な支援を総合的に行なうことを目的とする。身体障害者,知的障害者,精神障害者,難病患者にかかわらず,障害福祉サービスや公費負担医療などを一元化し共通制度のもとに提供すること,地域生活や就労を支援する事業や重度障害者を対象としたサービスの充実をはかること,多様な障害者の実情に見合った基準(障害支援区分)を採用することなどが含まれる。

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