デジタル大辞泉 「こと」の意味・読み・例文・類語
こと[終助]
1 感動を表す。「まあ、きれいに咲いた
2 質問の意を表す。「お変わりありません
3 同意を求めたり、勧誘したりする意を表す。「皆さんもそうお思いにならない
4 (「ことよ」の形で)
5 命令・注意の意を表す。「明日までに用意する
[補説]文を止めて感動を表す用法が終助詞化してできたもの。5を除いては、主に女性の会話に用いられる。
古くは弦楽器の総称。「あづまごと・やまとごと」(和琴(わごん))、「きんのこと」(琴(きん))、「そうのこと」(箏(そう))、「びはのこと」(琵琶(びわ))、「くだらごと」(箜篌(くご))、「しらぎごと」(新羅琴)などのように、まったくタイプの異なる弦楽器各種をすべて「こと」とよんだ。近世でも藤井高尚(たかなお)の『弾物(ひきもの)のさだめ』(1808以後刊)に「さみせんのこと」(三味線(しゃみせん))、「こきうのこと」(胡弓(こきゅう))、「ひとつをのこと」(一絃琴(いちげんきん))と使用している。しかし、江戸時代以来、箏の別名を「琴(こと)」といい、また現在の常用漢字に箏の字がないので、琴の字をあてて箏の意に使用している。そのため、ことばのうえで琴と箏は紛らわしいが、楽器学的には異なる。両者の基本的相違は、箏は可動の柱(じ)(ブリッジ)を胴面に立てて調弦するのに対し、琴(きん)は柱を用いない点にある。近年、研究者の間では「箏」の字をあててコトと読むことが提唱されている。
[平山けい子]
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