メディアによる予測や世論調査の報道がもたらす心理的な影響により、人々の行動が変化すること。日本ではおもに選挙前に、世論調査や当落予測などをマスメディアが報道することによって、有権者の投票行動や候補者陣営の士気などに影響を与えることをさす。アナウンス効果ともいう。アナウンスメント効果による投票行動の一つとして、「バンドワゴン効果bandwagon effect」があげられる。これは派手な楽隊車につられて後ろを歩く見物人の姿になぞらえたもので、事前予測で優勢を伝えられた政党や候補者に多くの票が集まる傾向を表しており、先陣効果、楽隊馬車効果ともよばれる。目だつスローガンや広告宣伝などで、優勢であるという印象を前もって与え、選挙戦を優位に進めるといった戦術も、このような効果をねらったものである。一方、バンドワゴン効果とは逆に、世論調査や選挙速報などで苦戦や敗色濃厚などを伝えられると、候補者に対する同情や劣勢挽回(ばんかい)のための票が集まるアナウンスメント効果もある。このような心理的な影響を「アンダードッグ効果underdog effect」という。アンダードッグは負け犬を意味する英語である。こうした選挙行動に関して、アメリカでは1900年代なかばからさまざまな研究がなされてきた。
アナウンスメント効果は、もともと金融、経済用語として用いられ、政策当局が事前に意図をはっきり知らせることにより、金融機関、一般企業、家計などの行動に直接影響を与えることをさす。公定歩合の操作に関して行われる口先介入もこれにあたる。このことばが選挙行動への影響を表すものとして日本で初めて使われたのは、1979年(昭和54)に行われた衆議院議員総選挙においてで、事前の世論調査の結果が有権者の投票にどのような影響を与えるかに関心が集まった。これ以降、選挙行動を表すことばとして定着した。
[編集部]
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(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…(3)公定歩合の引上げは日本銀行の金融引締めの姿勢を内外に明らかにすることになり,それが経済活動に直接影響する効果も大きい。たとえば物価の上昇を見越して原材料の買占めに走っていた企業が,公定歩合の引上げにより近く物価が安定するとみて買占めを手控える(そのこと自体が物価を鎮静させる効果をもつ)場合であり,これは公定歩合変更の〈アナウンスメント効果〉と呼ばれている。 金融引締め期には,以上のように公定歩合をはじめとする各種の政策手段が総合的に活用されることにより,行き過ぎた経済活動や過剰な通貨の供給が抑制される。…
…そのための金融政策手段として,公定歩合操作,債券・手形オペレーション,準備預金制度による預金準備率の変更操作のほか,必要に応じて金融機関に対する指導・説得(窓口規制)を実施している。公定歩合操作についてみると,公定歩合の変更は,民間金融機関の資金調達コストを左右するコスト効果をもつほか,経済の先行き見通しに関する中央銀行の見解の変更を示唆するアナウンスメント効果をもつ。すなわち公定歩合の変更は,もしそれで十分な金融調整効果があげられないような場合には,準備預金操作,公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)などの諸政策手段も用い,あくまで調整効果を達成しようという中央銀行の決意を示すので,これを予想する経済主体の反応が促され,調整効果が強化される。…
※「アナウンスメント効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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