シュテファン(読み)しゅてふぁん(英語表記)Josef Stefan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュテファン」の意味・わかりやすい解説

シュテファン(Josef Stefan)
しゅてふぁん
Josef Stefan
(1835―1893)

オーストリア物理学者ウィーン大学に学ぶ。その名はシュテファン‐ボルツマン放射法則で知られている。1879年、チンダルの電熱白金線による実験をはじめその他の実験結果から、放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例すること(四乗則)を洞察し主張した。なおフランスの物理学者プーイェClaude Servais Mathias Pouillet(1790―1868)およびビオレJules Louis Gabriel Violle(1841―1923)の測定に基づき、放射法則から太陽の表面温度を6000Kと算出した。この四乗則については1884年にボルツマンが理論的に跡づけた。シュテファンはまた気体熱伝導拡散、相移行、流体力学的現象、電磁気現象に関する優れた業績を残した。1863年ウィーン大学教授となり、以後、学部長、総長を務めるかたわら、科学アカデミーの幹事と副会長、国際電気博覧会科学委員会(1883)と国際音響会議(1885)の議長歴任、幅広く活躍した。

[兵藤友博]


シュテファン(Heinrich von Stephan)
しゅてふぁん
Heinrich von Stephan
(1831―1897)

ドイツの政治家。ポメラニアシュトルプに生まれる。プロイセン郵便吏員となり、1870年北ドイツ連邦郵政総監、1875年ドイツ帝国郵政総監に就任。ドイツ郵便の改革功績を残した。また万国郵便連合UPU)の促進を図り、1874年その第1回会議の議長となる。郵便葉書の創案者としても著名。著書に『プロイセン郵便史』(1859)、『世界郵便と航空』(1874)がある。

[今井 修]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュテファン」の意味・わかりやすい解説

シュテファン
Stephan, Horst

[生]1873.9.27. サイダ
[没]1954.1.9. ライプチヒ
ドイツのルター派神学者。ライプチヒ大学講師 (1906) ,マールブルク大学講師 (07) ,同大学助教授 (14) ,同組織神学教授 (19) ,以後ハレ大学 (22) ,ライプチヒ大学教授 (26) を歴任した。"Zeitschrift der Theologie und Kirche"誌の編集者 (20) 。"Die Religion in Geschichte und Gegenwart" (RGG)第2版の組織神学部門の編集担当者。主著"Geschichte der evangelischen Theologie seit dem deutschen Idealismus" (30) 。ほかに"Herder in Bückeburg" (05) ,"Luther in den Wandlungen seiner Kirche" (07) ,"Kirchengeschichte der Neuzeit" (09) ,"Glaubenslehre" (20) などがある。

シュテファン
Stefan, Josef

[生]1835.3.24. クラーゲンフルト近郊ザンクトペーター
[没]1893.1.7. ウィーン
オーストリアの物理学者。ウィーン大学に学び,同大学教授 (1863) ,同大学物理研究所所長 (66) 。高温物体の冷却について測定を行い,黒体からの放射は絶対温度の4乗に比例することを見出した (79) 。のちに L.ボルツマンがこの法則を熱力学理論に基づいて導いた (84) ので,シュテファン=ボルツマンの法則と呼ばれている。ほかに電気,気体分子運動論,流体力学の研究も知られている。

シュテファン
Stephan, Martin

[生]1777
[没]1846
アメリカのミズーリ・ルーテル教会の創始者。貧しい家庭に育ち,10代で機械工として働く。ブレスラウで敬虔主義者たちから宗教的感化を受け,ギムナジウムに学び,ハレ,ライプチヒ両大学を経てドレスデンで牧師となる (1810) 。 1839年約 700名の支持者とともにアメリカへ移住。ミズーリ州セントルイス市に定住。ミズーリ・ルーテル教会の初代主教。

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改訂新版 世界大百科事典 「シュテファン」の意味・わかりやすい解説

シュテファン
Josef Stefan
生没年:1835-93

オーストリアの物理学者。ウィーン大学に学び,1863年から同大学教授を務める。J.ティンダルが行った,電流による白金線の発熱の際観察される放射に関する実験結果などから,熱放射のエネルギーが絶対温度の4乗に比例することを発見,これは84年L.ボルツマンによって理論的に演繹(えんえき)された(シュテファン=ボルツマンの法則)。また気体の拡散係数,摩擦係数およびそれらの絶対温度に対する依存性を理論計算から導き,熱伝導を測定する簡単な装置を考案し,気体分子運動論の確立にも貢献をした。J.C.マクスウェルの電磁気学の普及にも努めた。
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百科事典マイペディア 「シュテファン」の意味・わかりやすい解説

シュテファン

オーストリアの物理学者。1863年ウィーン大学教授。1879年,高温物体の熱放射を測定して全放射エネルギーが絶対温度の4乗に比例することを確認(シュテファン=ボルツマンの法則)。電気,気体分子運動論,流体力学も研究。

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世界大百科事典(旧版)内のシュテファンの言及

【シュテファン=ボルツマンの法則】より

…すなわち,E=σT4。比例定数σはシュテファン=ボルツマン定数と呼ばれ,ボルツマン定数をk,プランク定数を2πで割ったものをħ,真空中の光速度をcとして,σ=π2k4/60ħ3c2=5.67032J/m2・s・K4である。ET4に比例することは1879年にJ.シュテファンが述べたものであるが,その根拠は,熱した白金線の出す全放射エネルギーが1200℃では525℃のときの11.7倍になるというJ.ティンダルの実験(1875)にあり,事実,絶対温度を用いると(1473K/798K)4が11.7に近くなるのだった。…

※「シュテファン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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