世界恐慌(読み)セカイキョウコウ

デジタル大辞泉 「世界恐慌」の意味・読み・例文・類語

せかい‐きょうこう〔‐キヨウクワウ〕【世界恐慌】

世界的規模恐慌。1929年に始まる大恐慌が代表的な例。

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精選版 日本国語大辞典 「世界恐慌」の意味・読み・例文・類語

せかい‐きょうこう ‥キョウクヮウ【世界恐慌】

〘名〙 一九二九年秋、アメリカ合衆国の金融市場ウォール街金融恐慌に始まって、世界の資本主義諸国に波及し、世界的規模で進行した恐慌。
※綿(1931)〈須井一〉五「時代は丁度、欧州大戦とそれに続く永久的世界恐慌、プロレタリア運動の勃興と」

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「世界恐慌」の解説

世界恐慌(せかいきょうこう)
Great Depression

1929年10月24日(のち「暗黒の木曜日」と呼ばれた),ニューヨーク株式市場の大暴落をきっかけとして始まり,資本主義世界全体を巻き込んで数年間続いた大恐慌。史上空前の規模の恐慌は,ヨーロッパ諸国の疲弊をはじめ第一次世界大戦後の構造的不安定要因を一挙に顕在化させた。欧米資本主義諸国の工業生産は急激に落ち込み,失業者はアメリカで1300万人(4人に1人)を超え,農産物価格も暴落し農作物が大量に廃棄される深刻な農業恐慌を随伴した。31年5月,オーストリアの代表的銀行クレディット‐アンシュタルトの破産によって始まった金融恐慌は,ドイツに波及した。これを救うために出されたフーヴァー・モラトリアムは,戦債と賠償金支払いの1年猶予(事実上の停止)を宣言したが,それは20年代の安定期を支えた金融上の支柱を取り外すことになった。経済を建て直すため各国は金本位制から離脱し(31年9月金本位制崩壊),通貨ごとのブロック化を進めていった。大恐慌は,景気・変動への国家介入が避けられないことを示す歴史的契機となり,アメリカではニューディール政策が展開され,スウェーデンでは福祉国家体制形成が始まった。ドイツでは失業の破局的増大(3人に1人)と財政危機に有効な施策が打ち出されず,ヒトラー政権への道が開かれる致命的な契機となった。

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百科事典マイペディア 「世界恐慌」の意味・わかりやすい解説

世界恐慌【せかいきょうこう】

資本主義が発展し,国際分業と貿易に基づく世界市場での各国の結びつきが強化されるに伴い,資本主義諸国を世界的規模で連鎖的に襲う過剰生産恐慌。1857年に欧米を包括する未曾有の規模で生じて以来,ほぼ8〜12年の周期で起こり,独占資本主義段階に入ってからはその深刻さと持続期間も増大した。特に1929年―1933年,米国に始まり全資本主義諸国に波及した恐慌は史上最大規模で,〈大恐慌〉また〈世界大恐慌〉と呼ばれる。第2次大戦後の1973年以降数年にわたるスタグフレーションと呼ばれる長期世界不況は,1930年代恐慌に次ぐ大不況とされる。→恐慌

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界恐慌」の意味・わかりやすい解説

世界恐慌
せかいきょうこう
world crisis

広義には一国において発生した過剰生産恐慌が次々と他国に波及して世界的規模に広がった状態をいうが、狭義には1929年にアメリカに端を発して世界各国を襲った大恐慌をさす。

[編集部]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「世界恐慌」の解説

世界恐慌
せかいきょうこう

1929年(昭和4)にアメリカで始まり世界に波及した資本主義の歴史上,最大・最長の恐慌。日本・ドイツを除く主要国が恐慌前の水準に復帰するのに10年余を要した。恐慌の発端は,29年10月のニューヨーク株式取引所の株価暴落であった。アメリカでは株式恐慌後,産業恐慌・農業恐慌が激化し,南アメリカの農業恐慌はいっそう深刻化した。アメリカの恐慌はヨーロッパの信用不安を高め,オーストリアやドイツの金融恐慌をひきおこし,東欧諸国の危機を激化させた。世界市場は急激に縮小し,再建のための33年のロンドン国際経済会議が破綻したのち,各国はブロック化による景気回復の道を独自に追求することになり,戦争の時代が到来した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「世界恐慌」の解説

世界恐慌
せかいきょうこう
World Crisis

1929年10月24日(暗黒の木曜日)のニューヨーク株式市場の大暴落に端を発して全産業部門を襲い,全資本主義国家に波及した未曾有の大恐慌。1933年まで5年間に及ぶ
第一次世界大戦・ロシア革命ののち,資本主義が全般的に危機の時代にはいった現れで,各国は恐慌対策に奔走した。アメリカはニューディール,イギリスはブロック経済政策,日本・ドイツ・イタリアは準戦時体制をとり,第二次世界大戦の有力な原因となった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「世界恐慌」の解説

世界恐慌
せかいきょうこう

1929(昭和4)年10月24日,ニューヨークのウォール街の株価大暴落に端を発して,全資本主義国に及んだ経済恐慌
「暗黒の木曜日」ともよばれる最大・最長の恐慌で,日本・ドイツを除いて,主要国が恐慌前の水準に回復するのに10年かかった。各国は,ブロック化による景気回復や,日独のような対外進出や軍備増強をはかり,第二次世界大戦の大きな誘因となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世界恐慌」の意味・わかりやすい解説

世界恐慌
せかいきょうこう

大不況」のページをご覧ください。

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