分割統治(読み)ブンカツトウチ(その他表記)divide and rule

デジタル大辞泉 「分割統治」の意味・読み・例文・類語

ぶんかつ‐とうち【分割統治】

支配者が被支配者の間にある民族的、宗教的、経済的利害対立をあおり立てて、互いに分裂・抗争させることで統治安定をはかる政策植民地統治によく用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「分割統治」の意味・読み・例文・類語

ぶんかつ‐とうち【分割統治】

  1. 〘 名詞 〙 被支配者の間に分裂状態を生じさせ、団結をむずかしくしておいて安定した支配の継続をはかる方法

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分割統治」の意味・わかりやすい解説

分割統治
ぶんかつとうち
divide and rule

支配者が被支配者を分割、すなわち被支配者の団結を妨げて分裂させ、それをもって統治を容易にさせようとすること。「分割して統治せよ」ということばは、元来は古代ローマ帝国のその支配地域における統治術をさしたものである。そこでは被支配部族・民族が互いに離反・対立するように策し、ローマの支配に対する彼らの敵愾心(てきいしん)を分散させ、被支配者の連帯よりもローマへの忠誠心を生み出すようにした。そうすることでローマ帝国の統治を容易にした。こうした統治術は植民地時代に欧州列強によって用いられ、イギリスやフランスなどは分割統治を原則として植民地住民を統治した。たとえば、スーダンにおける統治でイギリスは北部住民(アラブ系)と南部住民(ネグロイド系)の対立を利用し、南部住民を軍隊に用いて北部住民を抑え込むなどした。

 なお、この分割統治ということばは、いろいろな政治状況で用いられるが、日本では、比例代表区のブロック制導入によって政党支持票の分断といった事態や、それを通じて野党の連携を困難にさせる場合にも使用されることがあった。

[青木一能]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分割統治」の意味・わかりやすい解説

分割統治
ぶんかつとうち
divide et impera

「分割して支配せよ」というフランスの国王ルイ 11世の言葉に由来する支配,統治技術の一つ。統治者が被統治者間の人種言語階層,宗教,イデオロギー,地理的,経済的利害などに基づく対立,抗争を助長して,後者の連帯性を弱め,自己の支配に有利な条件をつくりだすことをねらいとしている。過去の植民地経営,支配にしばしば用いられ,イギリスのインド統治はその典型とされる。現代でも,国際政治の分野だけでなく,国内における選挙 (都市票と農村票の分離) ,労働組合 (第1,第2組合の分裂) の対策など,対立の契機を含んだ集団の制御に適用できる。

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