乗馬靴のかかとに取り付けた金属製の馬具。後方に突出し、乗馬中、必要に応じてウマのわき腹を刺激する道具である。拍車は刺激を与える歯車の意味。しかし、中国語の拍車の本来の意味は戦車などのことである。拍車は紀元前4世紀にケルト人が使用していたとされている。初期のものは1本のとげ状のものであったが、のちには歯車状のものとなり、ヨーロッパの中世の騎士はかならず装着し、鉄、金、銀製のものがある。日本では明治以後用いられている。近年は馬体保護のため、あまり使用されなくなっている。安土(あづち)桃山時代に渡来したポルトガル人は、日本の乗馬具に拍車がないと記している。江戸時代には拍車の訳名はなく、仮名で「スポール」と記し、明治初期は「刺馬輪」と和訳してある。拍車という文字は明治中期に現れ、現在は馬具としてより、「拍車をかける」という表現のことばとして盛んに使われている。
[松尾信一]
『加茂儀一著『家畜文化史』(1973・法政大学出版局)』▽『加茂儀一著『騎行・車行の歴史』(1980・法政大学出版局)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加