明治・大正期の西洋史学者 東京帝国大学理学部教授。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
日本の西洋史学の開拓者。箕作秋坪の四男として生まれる。東京帝国大学理科大学を卒業し,1886年ドイツに留学し,当初,動物学を学んだが,強度の近視のため史学に転じ,H.vonトライチュケ,L.vonランケに学ぶ。92年帰国し,一高の教師となるが,1900年フランスに留学,おもに革命史を研究する。02年帰国し,東大文科の西洋史教授となる。その著書《西洋史講話》全2巻(1910)は,日本最初の西洋史概説の体系書である。古代エジプトから20世紀初めまでの西洋史を,基本的史実を踏まえ,しかも,当時の西洋における学問水準を反映させて記述している点に特徴がある。また,《仏蘭西大革命史》全2巻(1919-20)は,留学中の研究成果であり,大学での講義録を整理・出版したものである。ルイ16世の即位から総裁政治の成立にいたるまでの,政治史を中心としたものであるが,人物描写に優れている。日本最初の学問的革命史としての意義は大きい。
執筆者:高峰 慧
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明治・大正時代の歴史学者。蘭学(らんがく)者秋坪(しゅうへい)の四男。津山藩医で蘭学者の阮甫(げんぽ)の末孫。数学者で東京帝国大学総長、のち文部大臣となった菊池大麓(だいろく)の弟にあたる。文久(ぶんきゅう)2年5月29日、美作(みまさか)国(岡山県)津山に生まれる。動物学を志して東京大学に入り、理学部動物学科、同大学院を出て、1886年(明治19)ドイツのフライブルク大学に自費留学したが、近視のため歴史学に転向、チュービンゲン大学その他で西洋史学を研究、同大学で91年学位をとって翌年帰国。高等師範、一高の教授、東京帝国大学講師となり、99年より2年間のドイツ・フランス留学ののち、同大学教授、1903年(明治36)文学博士となる。著書に『西洋史講話』『世界大戦史』『仏蘭西(フランス)大革命史』などがある。大正8年8月9日東京で死去。
[金井 圓]
『井手文子・柴田三千雄編『箕作元八・滞欧「箙梅日記」』(1984・東京大学出版会)』
(松島榮一)
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1862.5.29~1919.8.9
明治・大正期の西洋史家。江戸鍛冶橋の津山藩邸に生まれる。東大卒。1886年(明治19)動物学研究のためドイツに留学したが,強度の近視のため歴史学に転じた。92年帰国し,高等師範・一高の教授となる。独仏両国への再度の留学ののち1902年東京帝国大学教授となる。フランス革命史を中心に実証的研究を進め,揺籃期の日本西洋史学の進展に寄与した。著書「フランス大革命史」全2巻,「ナポレオン時代史」「西洋史講話」。
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