じこ‐ぶんかい【自己分解】
- 〘 名詞 〙
- ① 細胞や組織が死ぬと、たんぱく質などの構成物質が無菌状態においても分解すること。細胞内のリソソーム(水解小体)中に含まれる諸種の酵素が細胞構成物質に働いてひき起こす。自己消化。
- ② 結合しているものが内部からひとりでに解体すること。
- [初出の実例]「批評がかういふ風に自己分解すれば、そこから文学乃至哲学のカリケチュアしか発生しない」(出典:反動期に於ける文学と哲学(1934)〈戸坂潤〉)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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自己分解
じこぶんかい
細胞や組織が死んだり破壊されると、その構成物質が細胞のもつ加水分解酵素群によって分解される現象で、自己消化ともいう。これらの加水分解酵素の大部分は、リソゾームとよばれる細胞内小器官に存在し、他の細胞構成物質から隔離されているが、細胞が死ぬと、リソゾーム膜が壊れて加水分解酵素が細胞質中に遊離する。リソゾームに存在する加水分解酵素にはカテプシン、ヌクレアーゼ、フォスファターゼ、エステラーゼその他があり、酸性pHで作用する。たとえばカエルの変態にみられるオタマジャクシの尾の吸収現象の一部は、尾を構成する細胞の自己分解によるとされ、チロキシンの作用でリソゾーム酵素が細胞質中へ放出されると考えられる。
[嶋田 拓]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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自己分解
じこぶんかい
autolysis
生物の死後,細胞や組織が自己のもつ分解酵素によって分解する現象。特に,細胞内プロテイナーゼ(カプテシン。→蛋白質分解酵素)の働きによる蛋白質分解は顕著であるが,これら自己分解酵素の出所の大きな源はリソソームの内容物と考えられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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