日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラス・アクション」の意味・わかりやすい解説
クラス・アクション
くらすあくしょん
class action
集団訴訟あるいは集合代表訴訟と訳される。欠陥商品により多数の消費者が損害を被ったとして、企業を相手方として損害賠償請求をする場合、消費者1人ずつの被った損害が小さければ、個別に訴訟をすることは、手数・費用の点で引き合わず、躊躇(ちゅうちょ)することになる。この場合に、その代表者が消費者(クラス)を代表して訴訟をし、その判決の効力をクラス構成員に及ぼす制度をいう。現在アメリカにこの制度があるが、日本にはなく、消費者保護の視点からその導入が提唱されている。アメリカでのクラス・アクション提起の要件として、クラスに属する者が多数であること、クラスに共通の法律問題または事実問題があること、代表当事者の要求がそのクラスの要求の典型的なものであること、代表者がそのクラスの利益を公正かつ適切に保護するであろうことがあげられているが、具体的にクラス・アクションとして認めるか否かは、裁判所が決定することになっている。また、ある人を代表者として認めるか、クラスを分割するか、訴えの取下げ・和解を認めるかも、裁判所が決めることになっている。クラス・アクションはこのように、裁判所に対する信頼を前提にした制度といえよう。このほか、クラスの構成員は、訴えが提起されたこと、代表者がだれであるか、その代表者がクラスの利益を代表して適切な訴訟活動をしているかなどを知り、場合によりクラスから脱退することも保障さるべきであるが、これらのクラス構成員の手続保障をどのようにするかが問題とされている。
[本間義信]