チャンチャン(読み)ちゃんちゃん(英語表記)Chan Chan

デジタル大辞泉 「チャンチャン」の意味・読み・例文・類語

チャン‐チャン(Chan Chan)

ペルー西部の都市トルヒーリョ西郊にある先インカ期の遺跡。12世紀から15世紀後半にかけて栄えたチムー王国の都だったとされ、日干し煉瓦れんがでつくられた王宮王墓灌漑かんがい用水路などの遺構がある。1986年に「チャンチャン遺跡地帯」の名称世界遺産文化遺産)に登録。また風雨による崩壊が進んでいるため、同年より危機遺産にも指定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャンチャン」の意味・わかりやすい解説

チャンチャン
ちゃんちゃん
Chan Chan

ペルー北海岸モチェ川流域、現トルヒーヨ市西郊にある大都市の遺跡。12~15世紀に栄えたチムー王国の首都であったといわれる。その面積は15平方キロメートル前後と考えられてきたが、1970年代初めに行われたハーバード大学の調査では、24.5平方キロメートルという数値が出ている。その中心部は、型入れアドベ(日干し)れんがを材料とする高い壁を巡らした10個の長方形大区画よりなり、その内部には、大小の部屋、広場、基壇、墓などがある。壁面には、様式化された魚、鳥の模様や幾何学文浮彫りにされている。大区画の西には住居地区が無秩序に広がっており、その中間に区画、基壇、通路などが散在する。中心部を除いて、保存状態はよくない。

増田義郎

世界遺産の登録

1986年、古代都市の遺跡がユネスコ(国連教育科学文化機関)により「チャンチャン遺跡地帯」として世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録され、同時に危機遺産リストにも登録された。

[編集部 2018年5月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「チャンチャン」の意味・わかりやすい解説

チャンチャン
Chanchán

ペルー北海岸一帯に,14~15世紀に栄えたチムー王国の首都。現在のトルヒーヨ市郊外に巨大な都市遺跡として残っている。その規模は約20km2に及び,中心域は厚い土壁に囲まれたいくつかの大区画からなる。古代アンデス文明最大の計画都市といえる。最も保存状態のよいチュディ区画は480m×450mで高さ7mの大壁に囲まれ,内部にはレリーフや透し彫などの技巧をこらした宮殿建築が見られる。
チムー文化
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世界大百科事典(旧版)内のチャンチャンの言及

【チムー文化】より

…ペルー北部海岸の都市トルヒーヨの近郊にあるチャンチャンChan Chanを中心とする文化。インカ帝国に征服される(1400年代)直前には北はトゥンベスから,南は現在のリマの付近まで,約1200kmにおよぶ海岸地帯を支配し,ランバイェケ谷,パカスマヨ谷などに複数の地方政治センターをもち,南は文化の違うチャンカイをも含む広大な版図をもつチムーChimú王国を形成していたといわれる。…

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