七ッ釜(読み)ななつがま

日本歴史地名大系 「七ッ釜」の解説

七ッ釜
ななつがま

[現在地名]中里村田代

苗場なえば山北方に連なる支峰みつの山(日蔭ひかげ山)付近に源を発するかま川が、急流を下ること十数キロ、田代たしろの集落の上方にある。釜とは滝や急流がうがった深淵のことで、川名も淵名もこれに由来する。手洗てあらい釜・みそぎ釜・観音かんのん釜・なかの釜・不動ふどう釜・弁天べんてん釜・大滝おおたきの釜の七つである。数次の洪水のため地形が崩れ埋没した釜もある。最大のものは不動滝、あるいは銚子の口ちようしのくちとよばれる滝の釜で、銚子の口は高さ約一七―一八メートル。水量多く清冽で、水煙濛々として、夏なお冷気が迫る。両岸に絶壁が垂直に近い角度で切立つ。

七ッ釜
ななつかま

[現在地名]唐津市屋形石

屋形石やかたいしの北東部神崎こうざきの小岬、瓦器崎かわらけざき(一名土器崎どきさきにある。岬は玄武岩の柱状結晶からなり、海岸はすべて断崖絶壁をなしていて、玄界灘波濤をまともに受けて浸食がいちじるしい。東側の断崖は深く入り込み、七つの横穴が並列して、あたかも竈を並べたような形状をなし、深い穴は一〇〇メートルに達する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「七ッ釜」の意味・わかりやすい解説

七ッ釜 (ななつがま)

東松浦半島の北東端,佐賀県唐津市屋形石の土器崎にある玄武岩質の海食洞(天)。七つの洞門が釜を並べたように開口することからこの名がある。玄界灘の荒波に浸食された高さ約40mの断崖には,玄武岩の柱状節理がみられる。大きな海食洞は,幅・高さとも約3m,奥行きが100m有余に及ぶ。玄海国定公園,玄海海中公園の一角をなす。近くには,神功皇后朝鮮出兵伝承にちなむ土器崎神社がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の七ッ釜の言及

【佐賀[県]】より

…上場台地末端の臨海部はリアス海岸をなし,名護屋浦,外津(ほかわづ)浦,仮屋(かりや)湾ほか多くの入江が分布する。半島東岸の唐津市には玄武岩の海食洞で知られる屋形石の七ッ釜(天),虹ノ松原(特名)など景勝地が多い。これらの半島沿岸と沖合の高島,神集(かしわ)島,小川島,加唐(かから)島など付近一帯は玄海国定公園をなす。…

※「七ッ釜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android