デジタル大辞泉
「蟠」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
わだかま・る【蟠】
[1] 〘自ラ五(四)〙
① 輪のような形状にかが
まり曲がる。蛇などがとぐろを巻く。
※大智度論天安二年点(858)「安坐すること龍の蟠(ワタカマレ)るがごとし」
② くねり曲がる。
※枕(10C終)二四四「七曲にわだかまりたる玉の」
※
虞美人草(1907)〈
夏目漱石〉一〇「松が
信楽の鉢に、蟠
(ワダカ)まる根を盛りあげて、くの字の影を椽に伏せる」
※天草本伊曾保(1593)
大海と野人の事「サキノ ゴトク vadacamatte
(ワダカマッテ) ミヲ タバカルトモ」
④ 心の中に、ある考え、
感情が滞っている。あるこだわった考え、
気持があってさっぱりしないでいる。多く、不満・悪感情など、悪い考え・気持についていう。
※夫婦(1904)〈
国木田独歩〉六「常に
彼等の心の底にそれが蟠居
(ワダカマッ)て居たら如何だらう」
⑤ 滞って動かないでいる。固まって滞る。
※夢の女(1903)〈永井荷風〉三「其の黒い影は後の襖の上に蟠(ワダカマ)った儘、少しも動く事が無い」
[2] 〘他ラ四〙 人をだまして、ある物を自分の物にする。着服する。横領する。
※
浮世草子・
男色大鑑(1687)一「
誰人にてもこがれての状たまはるを、蟠
(ワダカマ)りて届けずば汝恋しらずなり」
わだかまり【蟠】
① かがまり曲がること。かがみ伏すこと。
② 心がねじけていること。いつわりの気持や悪意をもっていること。〔羅葡日辞書(1595)〕
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)一「其心ざし
(ワダカマ)りもなく清く流るる水にひとしく」
③ 心の中にこだわりとなっている感情。
相手に対する何らかの
不信、不満のある
心情。すっきりしないこと。また、
心中の晴れない思い。
屈託。
※歌舞伎・恋闇鵜飼燎(1886)五幕「何をお前が言出すか、わだかまりの無い私だから、誰が聞かうと構やあしない」
④ くねり曲がること。滞っていること。
※
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「平たい真直な道は蟠
(ワダカ)まりのない爽なものである」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
蟠 (ワラジムシ)
学名:Porcellio scaber
動物。ワラジムシ科の陸上動物
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報