高年齢者雇用安定法(読み)コウネンレイシャコヨウアンテイホウ

デジタル大辞泉 「高年齢者雇用安定法」の意味・読み・例文・類語

こうねんれいしゃこようあんてい‐ほう〔カウネンレイシヤコヨウアンテイハフ〕【高年齢者雇用安定法】

《「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の略称》高年齢者の雇用安定、定年退職者などの就業機会の確保・雇用促進などに関して規定した法律。昭和46年(1971)「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定、昭和61年(1986)改称。高年法。高齢法。
[補説]平成16年(2004)6月、少子高齢化進行に対応するため改正法が成立。事業主に対して、(1)定年の定めの廃止、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年年齢の段階的引き上げのいずれかの実施を義務づけた「高年齢者の安定雇用の確保」、および「高年齢者等の再就職の促進」「定年退職者等の臨時的・短期的就業機会の確保」などの規定が主な改正点となっている。平成25年(2013)4月以降は、60歳で定年退職後も就業を希望する人はすべて継続雇用制度の対象となり、希望者は全員65歳まで再雇用されるようになった。

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百科事典マイペディア 「高年齢者雇用安定法」の意味・わかりやすい解説

高年齢者雇用安定法【こうねんれいしゃこようあんていほう】

正式名称は〈高年齢者等の雇用の安定等に関する法律〉。急速な高齢化の進行を踏まえ,高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため,事業主が定年の引上げなどの措置を講じるとともに,高年齢者の再就職の促進や定年退職者等の就業機会を確保する措置の充実を図ることを要請した法律。1971年5月公布,10月施行。たびたび改正がなされ,1986年10月には事業主に60歳定年制実施の努力義務,1998年4月からは強制義務が課せられた。2004年6月の改正により,2006年4月以降,事業主は65歳までの定年の引上げ,継続雇用制度の導入,定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じる義務が課せられた。2012年改正で,60歳などで定年を迎えた社員のうち希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付ける改正がなされた(2013年4月より施行)。改正案について労働組合が〈希望者全員の雇用〉を求めたのに対し経済界からは社員の減給や若年層採用を削減するかという選択を迫られかねないとして反発を強めた。定年者の再雇用拡大で3割の企業が非正規社員の削減を検討していると報道されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高年齢者雇用安定法」の意味・わかりやすい解説

高年齢者雇用安定法
こうねんれいしゃこようあんていほう

正式には「高年齢者等の雇用の安定に関する法律」をいう。 1960年代の高度成長にもかかわらず中高年の雇用・失業情勢は良好とならなかったことから,総合的な施策で雇用の場を確保するために「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」 (昭和 46年法律第 68号) が制定された。同法では 45歳以上を中高年齢者とし,事業主に対する雇用奨励措置などを定めた。その後中長期的にも高齢化社会の進展に対応するため,55歳以上の高年齢者に重点を移して法改正を重ね,高年齢者雇用率の法定と達成義務付け (76年) ,60歳までの定年延長 (86年) ,65歳までの再雇用の努力義務付け,高年齢者の再就職援助措置,労働大臣による高年齢者等職業安定対策基本方針策定 (90年) などの内容を順次盛込むとともに,名称も冒頭のものに改められた (昭和 61年法律第 43号) 。

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知恵蔵 「高年齢者雇用安定法」の解説

高年齢者雇用安定法

2007年から本格化する「団塊の世代」の多数退職を目前にして、06年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行された。高齢者が年金支給開始まで働き続けられる環境整備が目的である。企業は年金支給開始年齢の引き上げに合わせて、13年までに(1)定年年齢を65歳まで延長する、(2)60歳以上の継続雇用制度を導入する、(3)定年制の廃止、のいずれかを選択することが義務づけられている。日本は高齢者層の就労意欲も高いことを考えると、この改正の方向に沿って適切な選択がなされることが望ましい。職種別賃金への転換も含めて、賃金・雇用制度などの柔軟な対応が必要になる。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高年齢者雇用安定法」の意味・わかりやすい解説

高年齢者雇用安定法
こうねんれいしゃこようあんていほう

高齢者雇用

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