アウトウォッシュプレーン(その他表記)outwash plain

改訂新版 世界大百科事典 の解説

アウトウォッシュ・プレーン
outwash plain

氷河末端から流れだす網状の流路をもつ水流によって形成された扇状地状の平野地形。主として英語圏で用いられる用語で,アイスランドではサンダーsanderと呼ばれ,ヨーロッパではサンダーまたはザンドルが一般名称となっている。氷河の縁には巨大な堤防状のモレーン堆石)列が形成され,アウトウォッシュ・プレーンはその外側に発達する。氷河の後退により網状の河道はふつう放棄され,1本にまとまった河川によって深く切られて段丘化している場合が多い。表面は平坦で,氷河の下で形成されたモレーン列の内側の起伏に富む地形とは対照的である。堆積物は成層した厚い砂礫層で,日本の扇状地堆積物によく似ている。一般的にいって大陸の河川には礫が少ないので,この砂礫層は建築や道路建設の材料として利用されることが多い。山地の谷氷河の下方に形成されたアウトウォッシュ・プレーンは,谷幅いっぱいに谷底を埋めて細長く連なる点で区別され,とくにバレー・トレインvalley trainと呼ばれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アウトウォッシュプレーン
outwash plain

外縁堆積原ともいう。氷河末端から流出した融氷水が,前面に広がった平地シルト,砂,礫を扇状に堆積してつくった堆積平野または堆積氾濫原。厚さは 100mに及ぶこともある。勾配は3~4゜。その上を網目状流路をつくって流れる融氷水は,日中にふえ夜には減少する。主として,氷河縮小期に形成され,氷河拡大期には下刻を受け段丘化する。氷河の近くでは粗大な礫と細状物質とが乱雑に混り合った堆積物から成り,氷河から遠ざかるにつれて非氷河性の砂や礫がふえる。ときには,これらに氷塊が混り,堆積後に溶けて凹地 (ケトル) をつくることがある。

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世界大百科事典(旧版)内のアウトウォッシュプレーンの言及

【氷河地形】より

…融氷水流には礫の多い物質が大量に供給されるため,流路は網状となり広い氾濫原が形成される。山間盆地内に形成されたものはバレー・トレーンvalley train,広い平野部に形成されたものはアウトウォッシュ・プレーン(アイスランドでサンダーsander)と呼ばれる。大陸氷河や山麓氷河の場合には一つの氷舌にいくつかの融氷水流の出口があり,合流扇状地状のアウトウォッシュ・プレーンが形成される。…

※「アウトウォッシュプレーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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