改訂新版 世界大百科事典 の解説
アウトウォッシュ・プレーン
outwash plain
氷河末端から流れだす網状の流路をもつ水流によって形成された扇状地状の平野地形。主として英語圏で用いられる用語で,アイスランドではサンダーsanderと呼ばれ,ヨーロッパではサンダーまたはザンドルが一般名称となっている。氷河の縁には巨大な堤防状のモレーン(堆石)列が形成され,アウトウォッシュ・プレーンはその外側に発達する。氷河の後退により網状の河道はふつう放棄され,1本にまとまった河川によって深く切られて段丘化している場合が多い。表面は平坦で,氷河の下で形成されたモレーン列の内側の起伏に富む地形とは対照的である。堆積物は成層した厚い砂礫層で,日本の扇状地堆積物によく似ている。一般的にいって大陸の河川には礫が少ないので,この砂礫層は建築や道路建設の材料として利用されることが多い。山地の谷氷河の下方に形成されたアウトウォッシュ・プレーンは,谷幅いっぱいに谷底を埋めて細長く連なる点で区別され,とくにバレー・トレインvalley trainと呼ばれる。
執筆者:野上 道男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報