アギレ・セルダ(読み)あぎれせるだ(その他表記)Pedro Aguirre Cerda

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アギレ・セルダ」の意味・わかりやすい解説

アギレ・セルダ
あぎれせるだ
Pedro Aguirre Cerda
(1879―1941)

チリ大統領在任1938~1941)。急進党の指導者であり、1938年、急進党、社会党共産党民主党、チリ労働者連合(CTCH)で構成される人民戦線から大統領選に出馬して当選、ラテンアメリカ唯一の反ファシズム人民戦線政府を成立させた。1941年11月に病気のため辞任するまで工業振興公団(CORFO)や農業機械サービス事業団(SEAM)を設立するなど、工業の発展と農業の近代化、輸出農作物栽培促進に努めた。労働立法の完全実施による労働組合の育成や労働条件の改善、教育の普及、福祉向上に力を注ぎ、チリ社会の近代化と民主化に貢献した。

[後藤政子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アギレ・セルダ」の意味・わかりやすい解説

アギレ・セルダ
Aguirre Cerda, Pedro

[生]1879.2.6. サンフェリペ
[没]1941.11.25. サンチアゴ
チリの政治家。大統領 (在任 1938~41) 。 1936年共産党,社会党,その他中道諸派と連合した人民戦線を結成,38年の大統領選挙勝利を得た。この人民戦線の勝利は,急進党が政治の主導権を握ったことを示し,また同時にラテンアメリカ史上初めて共産党が政権の座に連なったことを示す。在任中,工業化と技術教育の普及に尽力したが,特に産業多角化と国土の総合開発を目的として設立された産業開発公社 CORFOは,40年代における飛躍的な工業発展の基盤となった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アギレ・セルダ」の解説

アギレ・セルダ
Pedro Aguirre Cerda

1879~1941

チリの大統領(在任1938~41)。1915年急進党下院議員となり,以後文相,内相歴任。38年の大統領選に社会党,共産党などと人民戦線を結成して当選した。アギレ政権国家による工業開発の推進機関として生産振興公社を設立し,発電所,製鉄所などの建設を進めた。アメリカ資本の導入をめぐって人民戦線で内部対立が起こり,戦線崩壊の直後に病死した。

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