翻訳|acetanilide
水に難溶の無色の結晶。融点115℃。アニリンに無水酢酸を作用させて作る。希塩酸またはアルカリ水溶液中で加熱すると加水分解されてアニリンと酢酸になる。窒素原子の非共有電子対がカルボニル基の酸素原子に引き寄せられているので,窒素原子とベンゼン環上の電子密度がアニリンにくらべて小さい。
したがって,アセトアニリドはアニリンにくらべて酸化を受けにくく,また求電子試薬に対する反応も穏やかである。
→アセチル化
執筆者:小川 桂一郎 アセトアニリドはアンチフェブリンantifebrinとも呼ばれ,19世紀末のコールタールを原料とする化学工業の発達とともに生まれた医薬。安価で比較的強力な解熱・鎮痛薬として,とくに頭痛や月経痛の緩解の目的などに家庭薬としても一時は広く使われた。しかし副作用,とくにヘモグロビンをメトヘモグロビンに変えたり,赤血球を破壊したりするような血液毒性の危険性が高いために現在は使われていない。このような毒性は早い段階から知られていたので,それを改良するための研究から生みだされたのがフェナセチン(p-エトキシアセトアニリド)やアセトアミノフェンで,これらは現在も医薬として使われている。
執筆者:鶴藤 丞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
酢酸とアニリンのアミド。アセチルアニリン、N-フェニルアセトアミドともいう。アニリンに無水酢酸あるいは塩化アセチルを反応させて得られる。無色の板状結晶。冷水に約0.5%、熱水には約5%溶ける。アルコール、クロロホルム、エーテルなどの有機溶媒にはかなり溶けるが、石油には溶けない。金属ナトリウムと反応してN-ナトリウム誘導体を生成し、強酸の作用により不安定な塩を生成する。染料など各種有機化合物の合成原料として重要である。また鎮痛、解熱作用があり、1886年にアンチフェブリンという商品名で解熱剤として初めて医薬に供されたが、劇薬であり強い副作用があるため現在では使用されていない。
[山本 学]
アセトアニリド
分子式 C8H9NO
分子量 135.17
融点 115℃
沸点 305℃
比重 1.21(測定温度4℃)
溶解度 0.53g/100ml(水6℃)
N-phenylacetamide.C8H9NO(135.17).C6H5NHCOCH3.アニリンと氷酢酸,無水酢酸あるいは塩化アセチルとを反応させると容易に得られる.また,アニリンとケテンからも得られる.無色の板状結晶(水).融点113~115 ℃,沸点304~305 ℃.1.219.熱水,エタノール,エーテルなどに可溶.各種有機化合物の原料になる.LD50 800 mg/kg(ラット,経口).[CAS 103-84-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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