日本大百科全書(ニッポニカ) 「アベナリウス」の意味・わかりやすい解説
アベナリウス
あべなりうす
Richard Avenarius
(1843―1896)
ドイツの哲学者。1877年より没年までチューリヒ大学教授。徹底した実証主義の立場にたち、オーストリアの物理学者・哲学者のマッハとともに経験批判論の創始者として知られ、後の論理実証主義の展開に大きな影響を及ぼした。主著に『純粋経験批判』2巻(1888~1890)がある。彼によれば、哲学の任務はいっさいの形而上(けいじじょう)学的概念を除去して純粋経験に立ち戻り、それを最小力量の原理に従って記述することを通じて、自然的世界概念を回復することにあるとされる。そして、人間経験の全領域を数学的操作で記号化しようとしたが、その思想は唯物論の陣営からの激しい批判を招いた。
[野家啓一 2015年2月17日]