日本大百科全書(ニッポニカ) 「アホロートル」の意味・わかりやすい解説
アホロートル
あほろーとる
axolotl
[学] Ambystoma mexicanum
両生綱有尾目アンビストマ科のサンショウウオ。メキシコサンショウウオともよぶ。アホロートルとはアステカ語でwater dogに該当することばである。メキシコ・シティ周辺の湖に多く、現地では食用にする。本種は変態しないで一生を過ごし、幼生形のまま性的に成熟して繁殖する。この現象を幼形成熟という。全長20センチメートル前後。全身黒色であるが、黄白色のアルビノ(白化型)がときに生じる。3対のえらは大きく発達し、四肢は比較的小さい。飼育が容易であるため、現在では生物学の実験材料として各国で飼育されている。
アンビストマ科は北アメリカと中央アメリカに分布し、4属約30種を含む。この科にはトラフサンショウウオA. tigrinumをはじめ、幼形成熟の種が多く、これらを一括してアホロートルという場合もある。変態しない原因は、変態に関与するホルモンの量や感受性の低下にあると思われる。
[倉本 満]