アムリッツァル(英語表記)Amritsar

改訂新版 世界大百科事典 「アムリッツァル」の意味・わかりやすい解説

アムリッツァル
Amritsar

インド北西部,パンジャーブ州の宗教都市。人口96万6862(2001)。ラホールと共にパンジャーブの中心都市として栄えてきたが,印パ分離独立により国境に位置することになった。インドの穀倉たるパンジャーブ平原に産する小麦,米,綿花,サトウキビ羊毛皮革などの農畜産物の集散と加工機能を集積する。とりわけ羊毛工業はインド第1を誇る。市の中央にはシク教の総本山があり,これは1577年に第4代教主ラームダースが建立したものである。同教の聖書を納める黄金の本堂は,サンスクリット語で〈不死の池〉を意味するアムリタ・サラス(地名の起源)の中に建つ。市は同本山を中心に発展した。その西方にある要塞は第10代教主ゴービンド・シングにより1809年に建設され,シク教徒ムガル帝国,イギリスへの抵抗運動の拠点となった。1919年のイギリス軍による大量虐殺は市中のジャリアンワラ小広場でなされ,インド独立運動の転機をなした。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アムリッツァル」の意味・わかりやすい解説

アムリッツァル
Amritsar

インド北西部,パンジャブ州北西部にある州最大の都市。アムリッツァル県の行政庁所在地。パキスタンとの国境から約 48km,デリーとパキスタンのラホールを結ぶラホール街道上に位置する政治上の要地。 1577年にシク教の信仰の中心として建設され,同時に市の水源であるアムリタサラス湖が造られた。 1919年,ローラット法に対する抗議集会に集った大衆にイギリス軍が発砲し,約 400人の死者を出したアムリッツァル虐殺事件の地は,現在,ジャリアンワーラ公園になっている。ヒマラヤ山麓からの農・畜産物の集散や,カーペット,絹製品,刺繍,金銀細工などの手工業を主とし,機械,電機工業も立地。周辺一帯にはシク教徒が多く,シク教総本山のゴールデンテンプルや,パンジャブ大学に属するシク教のカール大学がある。 84年にはパンジャブ州の独立を求めるシク教徒過激派がゴールデンテンプルを占拠し,政府は軍隊を投入してこれを排除したため,シク教徒とヒンドゥー教徒との間に流血抗争が続いたが,1990年代初めには鎮静化した。人口 70万 9456 (1991) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アムリッツァル」の意味・わかりやすい解説

アムリッツァル
あむりっつぁる
Amritsar

インド北西部、パンジャーブ州にあるアムリッツァル県の県都。人口97万5695(2001)。インド西部国境最大の都市で、パキスタンへ通じる幹線国道の要衝に位置する軍事上の拠点都市である。1577年シク教の第4代教祖ラーム・ダスが、アムリッツァル(不滅の池)という池の中に寺院を建てシク教の聖都とした。20世紀に入って反英独立運動の拠点の一つとなり、1919年のイギリス軍によるジャリアンワーラーバーグでの武力弾圧は、アムリッツァル事件として有名である。19世紀から毛織物工業が発達し、北西インド繊維工業の中心地としても知られる。

中山修一

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