翻訳|Amen
古代エジプトの神。アモンAmon,アムンAmunと表記されることもある。大気・豊饒の神。ヘルモポリス神学で原初の八柱神の一人とされているが,大神としての興隆は中王国時代(第12王朝)メントゥ(メンチュ)に代わってテーベの守護神となり,国家神の地位についたことにはじまる。とくに新王国時代はイクナートンの宗教改革による一時的な打撃はうけても,大帝国の守護神として勢威は絶頂を極め,ヘリオポリスの太陽神ラーと習合してアメン・ラーAmen-Raと呼ばれ,創造神,〈神々の王〉とされた。ムート女神を妻,月神コンスKhonsを子とするテーベの三柱神を形成,本山のカルナック神殿は中王国時代以降プトレマイオス朝にいたる歴代諸王の増改築によってエジプト最大の神殿となる。図像では2枚の羽根を頂く男性もしくは牡羊頭の人物として表現される。旧約聖書ではエジプトを代表する神とされ,ギリシア人は最高神ゼウスと同一視した。
執筆者:屋形 禎亮
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アモンともいう。古代エジプトの主神。テーベの守護神。中王国時代から有力となり,新王国時代には太陽神ラーと習合,アメン・ラー信仰が確立した。勢力が強大化したアメン神官団が王権と対立したため,アメンヘテプ4世のアマルナ革命で弾圧されたが,ツタンカーメンはアメン信仰に復帰した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…古代エジプト第18王朝の宗教改革王イクナートン(在位,前1364ころ‐前1347ころ)の新都アケトアテンの現在名にちなんでつけられた時代。アマルナに都のおかれたイクナートンの治世および改革の萌芽のみられる先王アメンヘテプ3世の治世後半をさし,時には次王ツタンカーメン王の治世を含めることもある。また古代オリエント史上においては,アマルナ出土の楔形文字文書(アマルナ文書)によってエジプト支配下のシリア,パレスティナをめぐるオリエント諸国の国際関係を研究できる前14世紀前半から中葉にかけての時代をさす。…
…第2次大戦後,沖縄に帰化したメリケンガヤツリC.evagrostis Vahlは熱帯アメリカ産のパピルスに似た大型カヤツリグサである。【小山 鉄夫】
[象徴,伝承]
紙の原料であるパピルスは英知の象徴であり,古代エジプトでは大気の神アメンの標章であった。これが茂るナイル下流地域では,ワニの危害を防ぐ力があると信じられ,イシスは殺された夫オシリスを探してナイル川にこぎ出たとき,パピルスの舟を使ったので,ワニに襲われなかったという。…
※「アメン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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