翻訳|Amos
前8世紀のユダ王国出身の預言者。旧約聖書の中で,預言者の名を冠した預言書の編まれている,いわゆる〈記述預言者〉の最初の人物である。アモスは預言で生計を立てる職業的預言者ではなく,ユダの山地テコアで小家畜の飼育とイチジク桑の栽培に携わっていた自由農民であったが,ヤハウェの召命を受けて立ち,ヤラベアム2世が統治する兄弟国イスラエルの首都サマリア,聖所のあるベテルとギルガルに赴き,そこで短期間,激しい社会・宗教批判を行って,ユダに帰った。彼は町の広場や神殿の庭に立って民衆に直接神の厳しい審判の言葉を衝撃として語る仕方と,審判預言の語りのスタイルを確立した。彼の批判は具体的には,イスラエルの自由民や社会的弱者を圧迫して,その権利を平然と踏みにじる富める者たちの非人間的感覚と,祭儀を頼む宗教的自己安心に向けられた。ヤハウェはこの国を,日常倫理の破壊のゆえに罰して滅ぼす決断を下したというのが,アモスの根本的確信であった。
執筆者:並木 浩一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…隣国アラムの圧迫のためにフェニキアと結んで異教を導入したオムリの王朝を倒したエリヤ,エリシャが革命的な行動によって預言活動をなしえたのは,イスラエルが上層・下層の鋭い社会的対立によって国内的に分裂していたからである。一方,前9世紀以後中産階級層が力を得てくると直接の行動により社会変革をもたらすことは不可能となり,ここにアモス以下の〈言葉の預言者〉は国内の階級対立,国際的な大国依存を審判の言葉をもって批判し,問題の最後の解決である救済は歴史の終末にこれを期待するようになる。この〈行動の預言〉と〈言葉の預言〉の区別は最近の欧米の社会学的な預言研究における周辺的預言と中心的道徳性による預言の区別に応ずるものである。…
※「アモス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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