日本大百科全書(ニッポニカ) 「アヤ・デ・ラ・トーレ」の意味・わかりやすい解説
アヤ・デ・ラ・トーレ
あやでらとーれ
Víctor Raúl Haya de la Torre
(1895―1979)
ペルーの改革的政治家、思想家。北部トルヒーリョの出身。リマのサン・マルコス大学に在学中、学生運動の指導者として活躍。逮捕、投獄されたのち、1923年メキシコに亡命。翌1924年メキシコ市で同志とともに大陸的規模での反帝組織APRA(アプラ)(アメリカ革命人民同盟)を創立し、ラテンアメリカ独自の革命理論やインド・アメリカ主義を主張してコミンテルンの革命路線と対立した。1931年ペルーに帰国してペルー・アプラ党を創立。その後たびたび大統領選挙に出馬し、第二次世界大戦後はより現実主義的な姿勢を示したが、アプラ党政権の出現を恐れたペルーの寡頭支配階級や軍部に阻止され、ついに大統領の座につけなかった。政治活動のかたわら『反帝国主義とアプラ』をはじめ、革命理論や政治思想に関する多数の著作を書き、ペルーのみならずラテンアメリカの変革運動に大きな影響を与えた。
[加茂雄三]