アリカ(読み)ありか(英語表記)Arica

翻訳|Arica

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリカ」の意味・わかりやすい解説

アリカ
ありか
Arica

南アメリカ、チリ最北端にある太平洋岸の港市。チリ第1地域(タラパカTarapacá)にある。人口18万4134(2002年国勢調査速報値)。後背地は乾燥地で、アンデス山脈から流れる河川の谷を除き農業生産はわずかであるが、周辺の鉱産物(銅、硝石など)、魚粉などの輸出港となっている。ペルーボリビアとの国境地帯にあり、ボリビアの首都ラ・パスに鉄道が通じ、この国への中継港でもある。1960年代後半のフレイ政権下では国策により自動車、電気機器などの組立て工業が盛んとなったが、その後政策の変更で衰退した。対ペルー・ボリビア戦争(太平洋戦争とよばれる)でのチリ勝利により、チリが占領し(1880)、1929年チリへの帰属が確定した。

[細野昭雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリカ」の意味・わかりやすい解説

アリカ
Arica

正式名称はサンマルコスデアリカ San Marcos de Arica。チリ北端部,太平洋にのぞむ港湾都市で,ペルーとの国境に近い。アタカマ砂漠の北部にあたる乾燥地帯にあり,市街は砂丘に取巻かれて,切立ったモロ岬の下に広がる。 1570年インディオの集落があった地にスペイン人によって建設され,植民地時代はペルーの港として繁栄。 1879年チリとボリビアの間に硝石資源をめぐって太平洋戦争が始ると,チリ軍がこの地域を占領,83年のアンコン条約によりペルー領からチリ領に編入されることになったが,この帰属問題が最終的に決着したのは 1929年であった。現在チリ北部の主要港の一つとしてアタカマ砂漠で産出される銅,硝石などの鉱産物や,周辺の灌漑地帯に産するオリーブ,柑橘類などを積出すほか,内陸国ボリビアの外港として重要で,ラパスからの鉄道が通じ,ボリビアの輸出入のかなりの部分を扱っている。近年工業も次第に発展,魚粉工場,自動車組立て工場などがある。パンアメリカン・ハイウェーが通る。人口 17万 7330 (1992推計) 。

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