アルパカ(英語表記)alpaca
Lama pacos

精選版 日本国語大辞典 「アルパカ」の意味・読み・例文・類語

アルパカ

  1. 〘 名詞 〙 ( [スペイン語・英語] alpaca )[ 異表記 ] アルッパカ
  2. ラクダ科の家畜。グアナコを原種とするとされるが、疑問視する意見も多い。南アメリカのアンデス山岳地帯で飼われる。毛を採るほか、肉は食用にする。肩高約九〇センチメートル。首が長く、耳が立っている。体毛は黒、暗褐色などで柔らかく、多くは地面近くまで垂れ下がる。
  3. の毛から紡いだ毛糸。また、この毛を木綿糸に交ぜて織った織物。夏の洋服地や、洋服裏地に用いる。
    1. [初出の実例]「絹帛、『アルパカ』、諸毛の織物」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「アルパカ」の意味・わかりやすい解説

アルパカ
alpaca
Lama pacos

毛用に飼われるラクダ科の哺乳類。ペルー南部とそれに接するボリビア,アルゼンチン北部の4200~4800mのアンデス高地で放飼いにされる。肩高90cm,体長1.5m前後,ラマリャマ)に似るが小さく頭と四肢が短い。背が丸く尾の基部が高まらない。長い首をもち,豊かな毛に覆われる。後脚のたこはあるものとないものとがある。体毛がきわめて長く,地面に接するほどの長毛品種と毛が比較的短い短毛品種がある。毛色は一様な黒色,褐色,ときに淡褐色,白色で,斑をなすことはまれ。妊娠期間約330日,1腹1子。毛は2年ごとに,一生に3~4回刈られ,1回で約3kgの絹状の毛が得られる。野生種は知られず,ラマとともにグアナコ家畜化したものといわれるが,アルパカとラマの間には容易に雑種ができるにもかかわらず中間型がないため,絶滅した野生種から生じたとの説も有力。アルパカは18世紀末以来,毛用家畜としてイギリスやオーストラリアに多数移入されたが,いずれも増殖に成功していない。

 アルパカは主としてケチュア族アイマラ族インディオによって飼育されている。毛は保温性,光沢,肌触りなどに優れ,古代から上質の織物がつくられてきた。現在は牧民にとって重要な現金収入源でもある。染色せずに,これら自然の色を組み合わせるだけで,さまざまな文様の投石縄(オンダ)や,調和のとれた織物を織りあげることができる。肉は食用にされるが,乳は利用されない。また,ラマのように駄獣として使われることもない。牧畜の形態や牧民の生活はきわめて伝統的。1家族当りおよそ数百頭の群れが,昼は草原に放牧され,夜は石積みの囲い場に集められる。小規模な季節移動も行われる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルパカ」の意味・わかりやすい解説

アルパカ
あるぱか
alpaca
[学] Lama pacos

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ラクダ科の動物。南アメリカのチリ、ペルー、ボリビアのアンデス山岳地帯で飼われている家畜である。原種の野生種はすでに滅びたものと考えられている。体形はラマに類似するが、やや小形で、体長2メートル、肩高90センチメートル程度である。紀元前4~3世紀にはすでに家畜化されていたと考えられ、その主目的は毛用であったと思われる。事実、アルパカの毛並みは非常にしなやかで毛質はよく、毛の長さは10~12センチメートル、長いところでは40センチメートルにも達する。20世紀末でもペルー、ボリビアでは200万頭が飼育され、ヒツジが果たす役割を担っている。毛は衣類やカーペットに用いられ、その製品もアルパカとよばれている。妊娠期間は330日、1産1子である。日本では名古屋市東山動植物園、鹿児島市平川動物公園などで飼育されている(2003年時点)。

中川志郎


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百科事典マイペディア 「アルパカ」の意味・わかりやすい解説

アルパカ(動物)【アルパカ】

パコとも。偶蹄(ぐうてい)目ラクダ科の哺乳(ほにゅう)類。ラマの一種として扱われたこともあるが別種。体長2m,肩の高さ0.9mほどで,南米アンデス山岳地帯の家畜。放牧され,毛用,食用とされる。毛は黒または白,長く細くやわらかで光沢に富み,毛糸や織物に使用される。
→関連項目アメリカ・インディアンアルパカ(繊維)家畜グアナコ

アルパカ(繊維)【アルパカ】

アルパカの毛で作った梳毛(そもう)糸,およびその糸による平織や綾(あや)織の毛織物。軽く,薄く,光沢があり耐久力に富むので,夏服地,裏地などにする。上級品はアルパカ毛のみを用いるが,普通は経糸(たていと)に綿糸を用いる。また他の毛糸や化繊糸を用いた類似品もある。
→関連項目動物繊維

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「アルパカ」の解説

アルパカ
学名:Vicugna pacos

種名 / アルパカ
科名 / ラクダ科
解説 / 毛をとるために家ちく化されています。毛は細長く、とれる量が少ないので高級品としてあつかわれます。
体長 / 1.2~2m/肩高90~105cm
体重 / 55~65kg
食物 / 草や木の葉
分布 / アンデス山脈の高地

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルパカ」の意味・わかりやすい解説

アルパカ
alpaca

経糸に綿糸,緯糸に南アメリカ産のアルパカの梳毛 (そもう) 糸を用いた織物。アルパカの光沢のある独特の風合いをもつ。黒色,褐色などの無地染が多く,夏服地などのほか服裏地に使われる。近時は合成繊維を使用して,アルパカに似せた織物もつくられている。

アルパカ
Lama glama pacos; alpaca

偶蹄目ラクダ科。体長約 1m。毛が良質で,毛を得るために南アメリカで家畜化された。原種はグアナコと考えられている。チリ,ペルーなど南アメリカ北西部で育養されている。

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世界大百科事典(旧版)内のアルパカの言及

【羊毛】より

…羊毛はメンヨウから切り取った毛で,ウールともいい,人間が利用する動物の毛の大部分を占める。動物の毛としてはヘア(獣毛)と呼ばれるラクダ毛,カシミア毛,モヘア(アンゴラヤギ毛),アンゴラウサギ毛,アルパカ毛も繊維として使われる。ヒツジは有史以前から中央アジア地方で飼育されたらしい。…

※「アルパカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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