アンベール(読み)Humbert, Aime´

朝日日本歴史人物事典 「アンベール」の解説

アンベール

没年:1900.9.19(1900.9.19)
生年:1819.6.12
幕末に来日したスイスの教育者,政治家。スイスのヌーシャテル州の小村に生まれ,経済上の理由で学業半ばにして教師となる。1848年同地で反プロイセンの臨時政府が成立するや官界入りし,要職歴任。同州のスイス連邦正式加盟と前後して政界を去り,58年同州の時計組合統轄の任に当たる。同組合から59年代理人を日本へ送り込み,条約締結の申し入れを行ったが,日本プロイセン修好通商条約の調印(1861)をみるにおよんで対日使節団派遣を策定,62年5月団長に任命される。文久3(1863)年3月10日横浜到着,尊攘運動最高潮下ようやく12月29日日瑞修好通商条約調印にこぎつける。帰国後はヌーシャテルで教職に就き,1892年引退。日本滞在中の見聞を記録した《Le Japon Illustre´》2vols.(翻訳『アンベール幕末日本図絵』新異国叢書14・15巻)は図版がふんだんに入れてあり興味深い。

(廣瀬靖子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アンベール」の意味・わかりやすい解説

アンベール
Laurent Joseph Marie Imbert
生没年:1797-1839

フランスのパリ外国宣教会士。漢名范世亨安黙爾。1818年同会に入り,22年以降マカオで伝道に従う。36年朝鮮代牧区の司教となり,翌年密入国して辛酉教獄(1801)後の教勢の回復に努めていたが,己亥教獄(1839)によって,モーバン,シャスタン両神父とともに斬首された。この教獄に際して,《己亥日記》を玄錫文にまとめさせている。生前手がけていた漢訳天主教書の朝鮮語訳は,ベルヌー司教が完成させた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンベール」の意味・わかりやすい解説

アンベール
Amer; Amber

インド北西部,ラージャスターン州東部の古都。12世紀頃からここに都を置いたラージプート王朝はムガル帝国アクバル大帝に王女を嫁がせるなど,ムガル帝国との友好関係を保ち,1728年ジャイ・シン2世のもとに,旧都の郊外にジャイプルを建設し,王都とした。1600年頃建設が始まり,ジャイプル遷都まで王の居城だったアンベール城,町を見おろす高台に建つジャイガー砦などがあり,2013年ラージャスターン州の丘陵要塞群として世界遺産の文化遺産に登録された。

アンベール
Humbert, Aimé

[生]1819.6.12. ビュルル
[没]1900.9.19. ヌーシャテル
スイスの遣日使節随員。ドイツのテュービンゲン大学で言語,文学を学び,中退。高校,次いで女子中学教師をしながら翻訳,執筆を続けていたが,1848年には官吏となり,州内閣の文部長官に進んで以来さまざまな官歴を重ね,57年ヌーシャテルの時計業組合長となった。この組合の代理人ルドルフ・リンダウの日本からの報告に基づき,61年連邦議会はアンベールを遣日使節に任命した。 63年 11月~64年6月の極東旅行の間に 64年2月6日 (文久3年 12月 29日) 江戸で『日瑞修好通商条約』を締結。帰国後,フランス語で『幕末日本図絵』 (高橋邦太郎訳) を発表,のち 25年間ヌーシャテルのアカデミーの講師としてフランス文学などを講じた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「アンベール」の解説

アンベール Humbert, Aimé

1819-1900 スイスの遣日使節。
1819年6月12日生まれ。教師から官界にはいり,文久3年(1863)遣日使節団長として来日。江戸で日本・スイス修好通商条約を締結。日本での見聞,調査をもとに,帰国後「日本図絵」をあらわした。1900年9月19日死去。81歳。ヌーシャテル州出身。ドイツのチュービンゲン大中退。

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世界大百科事典(旧版)内のアンベールの言及

【ジャイプル】より

…1818‐1949年までジャイプル藩王国の主都であった。同藩王国は12世紀のラージプート王国にさかのぼる歴史をもち,1600年以来北方8kmのアンベールを都としていたが,ジャイ・シング2世が1728年にここに新都を建設した。地名は彼にちなみ,〈ジャイの町〉を意味する。…

【アントワープ】より

…ベルギー北部,スヘルデ川の河口に臨む大貿易港,臨海工業都市で,同名州の州都。アントワープは英語で,フラマン語(オランダ語)ではアントウェルペンAntwerpen,フランス語ではアンベルスAnversまたはアンベール。人口は隣接12市を含む都市圏全体で62万6000(市域のみでは19万7000。…

※「アンベール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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