日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーマルコ石」の意味・わかりやすい解説
アーマルコ石
あーまるこせき
armalcolite
月面岩石中に発見された新鉱物の一つ。その後、地上の岩石や隕石(いんせき)中からも発見された。1969年に月面基地が設置された「静かの海」Mare Tranquillitatisを構成するチタンに富む玄武岩の一構成鉱物。地表では、石墨を含む酸性火山岩中の捕獲岩、花崗(かこう)岩質ペグマタイト、超塩基性岩、キンバレー岩、隕石孔周辺の岩石などで発見されており、隕石では炭素質球顆(きゅうか)状隕石から報告がある。自形は未報告。なお合成物については、地球物理学者の秋本俊一(しゅんいち)(1925―2004)らによる先駆的な研究(1957)により、低圧高温、還元状態が必須(ひっす)条件と判明している。命名は最初に月面探査を行い、模式標本を採集した3人の宇宙飛行士、アームストロング、オルドリンEdwin Eugene Aldrin Jr.(1930― )、コリンズMichael Collins(1930―2021)の名前にちなむ。
[加藤 昭]