日本大百科全書(ニッポニカ) 「フーゼル油」の意味・わかりやすい解説 フーゼル油ふーぜるゆfusel oil デンプンや糖類の発酵でエタノール(エチルアルコール)をつくる際、精製時の副産物として分離される黄色ないし褐色の液体(比重0.81~0.83)。用いる原料によって組成も変わるが、主成分はイソアミルアルコール、活性アミルアルコールで、そのほかイソブチルアルコール、n‐プロピルアルコール、その他の高級アルコールが含まれる。化学処理や蒸留などによって精製したものは、ほぼ前記2種のアミルアルコールの混合物であり、そのままか、あるいは酢酸エステル(通称は酢酸フーゼル)にして、アルキド樹脂、ニトロセルロースなど合成樹脂類の溶剤に用いられる。[松田治和] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フーゼル油」の意味・わかりやすい解説 フーゼル油フーゼルゆfusel oil アルコール発酵の際,副産物として生成するアミルアルコールを主成分とする黄色ないし褐色油状の物質。成分は発酵原料や酵母の種類,発酵方法,蒸留方法などによって異なるが,イソアミルアルコール,活性アミルアルコール,イソブチルアルコールなどを主成分とし,少量のエチルアルコール,フルフラール,ピリジン,テルペンなどを含む。概して癖のある臭気をもつもので,フーゼル油含量の多い製品は飲料に適さず,悪酔いの原因にもなる。発酵原料物質中のアミノ酸などから生じてくる。また酢酸エステルとして塗料の溶剤に利用される。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報