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いろごのみ

百科事典マイペディアの解説

いろごのみ

異性との関係またその情愛や情趣を好むこと,またその人。漢語の〈好色〉の訓読語か。《伊勢物語》や《源氏物語》が男女の仲を中心に描かれているように,〈いろごのみ〉は平安朝においては理想,理念でもあった。民俗学者の折口信夫は,多くの女性を愛し,幸福を与え,多くの子孫を持つことが,古代の帝王の備うべき徳の一つであったと言う。〈色好まざらん男は玉の杯の底なき心地ぞする〉と《徒然草》にもあるように,それは男性の価値を決定づける要素でもあった。しかしやがて時代が下るにつれ,それは単なる漁色に堕してゆくことになる。
→関連項目在原業平

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

いろごのみ
いろごのみ

古代、平安朝文学に現れた美的理念。もともと、古代における理想的な恋愛生活を意味し、具体的には優れた能力を有する女性を選択することであった。折口信夫(おりくちしのぶ)によれば、古代における英雄は国々の神に仕える巫女(みこ)をめとることでその国々の支配を可能ならしめたのであり、そのように理想の異性の魂に訴えかけてそれを奪い取ることのできる、英雄に固有の超人的な威力が「いろごのみ」であったという。多くの女性を破綻(はたん)なく支配することを通して神々を治め国々を経営しえた大国主(おおくにぬし)や仁徳(にんとく)・雄略(ゆうりゃく)天皇など、その典型的なあり方といえる。しかし平安時代に至ると、「いろごのみ」本来の信仰的、政治的性格がしだいに薄れて、男女間の恋の情緒の機微をよくわきまえている精神という概念に変質し、恋や趣味芸道にいちずに打ち込む精神である「すき」の概念と大差ないものとなる。さらに、時代が下って近世になると、「好色(こうしょく)」という概念へと派生し、「いろごのみ」の精神性が欠落して、肉体的快楽を求める愛欲を意味するようになった。現代における「いろごのみ」「好色」も、ともに近世以来の概念の延長上にあるといってよい。[鈴木日出男]
『『折口信夫全集2・3・8』(1965~66・中央公論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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