イワノボ(その他表記)Ivanovo

デジタル大辞泉 「イワノボ」の意味・読み・例文・類語

イワノボ(Ivanovo/Иваново)

ロシア連邦西部、イワノボ州の都市。同州の州都。旧称イワノボボズネンスク。「黄金の環」と呼ばれるモスクワ北東近郊の観光都市の一つ。18世紀にピョートル1世により織物工場が建設され、20世紀にいたるまで同国有数の繊維工業都市として栄え、「ロシアマンチェスター」と称された。一方、労働者によるストライキも頻発し、1905年に第一次ロシア革命につながる労働運動が起こったことでも知られる。フランスの女流小説家ナタリー=サロート生地

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改訂新版 世界大百科事典 「イワノボ」の意味・わかりやすい解説

イワノボ
Ivanovo

ロシア連邦,ヨーロッパ・ロシアの中央部,同名州の州都。モスクワの北東318km,ウボジ川に沿う繊維産業都市。人口41万8248(2004)。1871年,イワノボとボズネセンスキーの2村が合併し,1932年までイワノボ・ボズネセンスクIvanovo-Voznesenskと称した。16世紀にイワン4世が妻の弟に下賜した土地で,その後何人かの貴族の手を経たが,1741年には農民による最初亜麻布工場が開設され,製品はイギリス市場にも出た。18世紀末から,綿布生産へ移行し,1820年代末から機械が導入された。48年,中心となるガレーリン綿紡工場が創業し,当地は“ロシアのマンチェスター”として有名になった。70年代から労働運動が展開され,95年,マルクス主義的な〈イワノボ・ボズネセンスク労働者同盟〉が結成された。1905年革命時に最初のソビエトが形成されたのは当地である。現在,周辺の町でも綿布,リンネルを生産している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワノボ」の意味・わかりやすい解説

イワノボ
いわのぼ
Иваново/Ivanovo

ロシア連邦西部、イワノボ州の州都。モスクワの北東約318キロメートル、ボルガ川の支流ウボディ川の川岸にある工業都市。人口46万3400(1999)。ロシア有数の繊維工業都市で、混紡梳毛(そもう)、綿・絹・毛織物、既製服製造工業のほか、第二次世界大戦後、繊維機械、自走クレーン、泥炭採掘機、中ぐり盤などを製造する機械工業、食品(食肉マーガリン、水産加工)、化学、木材加工、建設資材工業などが発展した。ソ連崩壊後、繊維部門では12の工場、コンビナートが操業しているが、生産低下など厳しい状況下にある。1741年、イワノボ村に最初のマニュファクチュアが操業し、18世紀末に亜麻(あま)布生産から綿布生産に転換、農奴解放(1861)後、繊維工業が大発展した。1871年イワノボ村とボズネセンスク村が合併して、イワノボ・ボズネセンスク市となり、ロシアの大繊維工業中心地として栄え、「ロシアのマンチェスター」とよばれた。1905年に生じた「イワノボ・ボズネセンスクのストライキ」は労働運動史上著名である。同市名は1932年まで用いられた。総合大学のほか、繊維、医科、農業、化学、教育の諸大学、郷土博物館、美術館などの施設があり、交響楽団も存在する。

[中村泰三・小俣利男]

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百科事典マイペディア 「イワノボ」の意味・わかりやすい解説

イワノボ

ロシア,モスクワ北東の都市。1932年までイワノボ・ボズネセンスクと称した。18世紀半ばから紡績工業が発達,ロシア紡績工業の一大中心地となっている。1871年市となったが,このころから労働運動が盛んに行われた。1905年革命時に,ここで最初のソビエトが結成された。40万3797人(2009)。

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