イ語(読み)イご

百科事典マイペディア 「イ語」の意味・わかりやすい解説

イ(彝)語【イご】

イ(彝)族言語ロロ語とも。錯綜して分布するリス,ラフ,ナシアカ等の諸語とロロ語群を形成し,チベット・ビルマ語派に属する。中国雲南省,四川省中心に約400万人が使用する。固有の表意文字をもつ。
→関連項目アチャン(阿昌)族西夏語チノー(基諾)族ナシ(納西)族ヌー(怒)族ハニ(哈尼)族ビルマ語ペー(白)族ラフ族リス族

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改訂新版 世界大百科事典 「イ語」の意味・わかりやすい解説

イ(彝)語 (イご)
Yí yǔ

中国の少数民族の一つイ族の言語。雲南,四川,貴州の3省と広西チワン(壮)族自治区の一部に分布し,約550万人の話し手がいる。従来は,ロロ語Loloと呼ばれた。語彙と音韻の特徴から,北部,東部,南部,西部,南東部,中部の6方言に大別されるが,ノス(納蘇)語とかサニ(散尼)語のように,部族の自称が方言名になっている場合がある。北部方言に属する四川省涼山イ族自治州の喜徳方言を標準語とする。音節子音母音の開音節に限られ,喜徳方言では,子音は43(44),母音は10種,声調は4種あり,弁別される音節総数は800以上に及ぶ。文は,主語-目的語-述語の語順をとり,名詞には格助詞がつき,動詞には助詞助動詞を接尾して完了態や使役相などを表現する。また初頭子音の対立による自動詞他動詞の弁別もある。類別詞も多種類使われ,名詞-数詞-類別詞の順に並べられる。古くは老イ文(ぶん)(イ文字)で表記されたが,現在は規範イ文(ぶん)とラテン文字が併用されている。チベット・ビルマ語派のうち,ロロ・ビルマ語群のロロ語系に所属する。
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世界大百科事典(旧版)内のイ語の言及

【チベット・ビルマ語派】より

… (c)チャン(羌)語系 四川省北部に分布し,南・北方言に分かれるチャン語のほかにプミ(普米)語がある。 (d)ヒマラヤ語系 ネパールに分布,グルン語,カム語,マガール語,ライ語,リンブ語が各派を代表する。(2)ロロ・ビルマ語群 (a)ビルマ語系 ビルマ語は,中央部・西南部・東南部・東部の四大方言に分類され,ほかにマル語(またはランス(浪速)語),ラシ語(またはラチ(喇期)語),アチ語(またはツァイワ(載瓦)語)がある。…

【ロロ・ビルマ語群】より

…シナ・チベット語族のチベット・ビルマ語派に属する言語群で,ビルマ語イ(彝)語(ロロ語),リス語,ラフ語,アカ語,ナシ語(モソ語),西夏語,カチン語,ヌン語,ピュー語などが含まれる。ビルマ語に最も近い言語としてはマル,ラシ,アツィ,アチャン,ポン,マルマの諸言語がある。…

※「イ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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