デジタル大辞泉
「ウェゲナー肉芽腫症」の意味・読み・例文・類語
ウェゲナー‐にくがしゅしょう〔‐ニクガシユシヤウ〕【ウェゲナー肉芽腫症】
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「ウェゲナー肉芽腫症」の解説
うぇげなーにくげしゅしょう【ウェゲナー肉芽腫症 Wegener Granulomatosis】
[どんな病気か]
ウェジナー肉芽腫症ともいい、血管炎(けっかんえん)の1つです。鼻腔(びくう)などの上気道(じょうきどう)、肺などの下気道(かきどう)に、血管の炎症により血管が腫(は)れたり閉塞(へいそく)し、また、炎症をおこした細胞やその破片によって肉芽腫(にくげしゅ)ができる病気です。
血管炎が腎臓(じんぞう)をおかすと腎炎(じんえん)をおこし、末梢神経(まっしょうしんけい)では血の巡りが悪くなり末梢神経障害がおこったりします。
比較的まれな病気で、40~50歳代の人にみられ、患者数に男女差はありません。
この病気は、厚労省の特定疾患(とくていしっかん)(難病(なんびょう))に指定されており、医療費の大部分は公費から補助されます。
[症状]
発熱や関節痛(かんせつつう)のほか、初めは膿(うみ)のような鼻汁(びじゅう)、鼻づまり、目の充血、耳だれ、難聴、せき、血のまじったたんなどがみられます。
腎臓がおかされると、尿にたんぱくが出たり、さらに進行すると、腎臓の機能が低下して、尿毒症(にょうどくしょう)(「尿毒症」)になることもあります。
[原因]
なぜ血管炎がおこるのか、原因は不明です。しかし、炎症にかかわる血中の好中球(こうちゅうきゅう)という細胞の細胞質を抗原(こうげん)とする抗体(こうたい)(抗好中球細胞質抗体(こうこうちゅうきゅうさいぼうしつこうたい))が、この病気の患者さんの血中にだけみられるので、その抗体が発病に関係あると考えられます。
また、なんらかの感染症が発病の引き金になっている可能性も推測されています。
[検査と診断]
上気道と下気道の炎症による症状と腎炎(じんえん)があり、血中に抗好中球細胞質抗体がみられると、この病気が強く疑われます。
診断を確定するには、肺、鼻、腎臓などの組織の一部をとって顕微鏡で調べ(生検(せいけん))、この病気に特有の組織の変化を見つけなければなりません。
[治療]
ふつうは、炎症を抑えるステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬と免疫抑制薬であるシクロホスファミドを用いて治療します。軽症の場合、抗菌薬のST合剤が有効な場合もあります。
[日常生活の注意]
急性期には安静が必要ですが、軽快すれば、ふつうに日常生活を送ることができます。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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ウェゲナー肉芽腫症
ウェゲナーにくげしゅしょう
Wegener's granulomatosis
ドイツの病理学者 F.ウェゲナーによって 1936年に指摘された,20~30歳代に好発する多発性結節動脈炎に似た疾患。上気道 (副鼻腔,咽頭,喉頭,気管,気管支など) に壊死性肉芽腫瘍が発生するほか,全身性ことに肺の多発性血管炎,あるいは肉芽腫瘍の糸球体腎炎などを特徴としているが,病因はまだよくわかっていない。膠原病に属する疾患ではないかという見解もある。上気道が侵されないタイプのものも発見されていて病態は複雑。まれな病気であるが,経過はよくない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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