日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウェスタン・オーストラリア
うぇすたんおーすとらりあ
Western Australia
オーストラリア西部の州。面積252万5500平方キロメートル、人口185万1252(2001)。州都はパース。州の大部分が、先カンブリア層を基盤とする西部楯状地(たてじょうち)の主要部にあたる。その大半が平坦(へいたん)な砂漠や乾燥した台地状の平原であり、ある程度の高度と起伏をもつ山地や高原は、同州最高峰のミハリー山Mt. Meharry(1251メートル)を含む北西部のピルバラ地方、および北部のキンバリーズ地方のみである。州の大半が人口希薄な乾燥地域で、年降水量300ミリメートル未満の土地が約4分の3を占め、500ミリメートル以上の土地は12%にすぎない。人口密度が1平方キロメートル当り1人以上の地域は南西部(州面積の約5%)に限られ、ここに耕地(同2%)および森林(同1.3%)、さらに人口の9割近くが集中し、州都の都市圏だけで人口の7割余りを占める。
同州経済は、他州に比べてもっとも鉱業に特化しており、鉱業の雇用と生産額はともに全国の約4分の1を占める。鉱産物の代表は、1960年代以降に開発されたピルバラ地方を主産地とする鉄鉱石で、同州鉱産額の約6割、全国鉄鉱石生産量の9割以上を占める。このほか、カンバルダなどで60年代以降開発されているニッケル(全国の100%)、ピルバラ地方などの塩(全国の約5分の4)、南西部のボーキサイト(同約2分の1)およびミネラル・サンド、さらに金、天然ガスなどがある。農牧業では、小麦および羊毛がともに全国の約4分の1を生産し、全国第1位である。また、エビなどの水産額は全国第1位で全国の3分の1余りを占める。主要輸出品は鉄鉱石、小麦、羊毛などで、輸出入とも日本が最大の貿易相手国である。
1826年のオルバニーへの先駆的入植のあと、29年パースへの入植をもって自由植民地として発足。流刑労働力導入期(1850~68)を経て、90年に自治植民地となる。90年代に金鉱ラッシュがあった。1901年、他州とともに連邦を結成した。
[谷内 達]