ウォリス(読み)うぉりす(英語表記)John Wallis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォリス」の意味・わかりやすい解説

ウォリス
うぉりす
John Wallis
(1616―1703)

イギリス数学者。オックスフォード大学幾何学教授。カバリエリの幾何学的求積法(「不可分者」による発見的方法)を数値解析的手法で記号代数的発見法に整理し、xp(p>-1)やxの多項式の定積分に相当する公式を導き、円積問題でも、

に相当する考察を経て、無限積表示(ウォリスの公式)

を得た。これは、既知の数値表のなかに隠された真理を、暗号解読のような方法で推測した結果で(彼は若年のころピューリタン革命で議会派に属し、暗号解読に従事した)、その手法は青年ニュートンを刺激して、流率法の骨子たる二項定理の発見を促した。

村田 全]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォリス」の意味・わかりやすい解説

ウォリス
Wallis, John

[生]1616.11.23. ケント,アシュフォード
[没]1703.10.28. オックスフォード
ニュートン以前のイギリスにおける最も有名な数学者。 1632年,ケンブリッジ大学入学。 40年,司祭に任命される。当時のイギリスはチャールズ王と国会との間に戦争が起きていたが,ウォリスは国会派の一人として,王党派の暗号通信を解読して名をあげた。 45年,ロンドンに移住。 W.オートレッドの『数学の秘訣』を読んで,数学に非常な興味を覚える。 49年,オックスフォード大学の幾何学の教授に選ばれ,以後,生涯にわたって数学の研究を続ける。イタリアの物理学者 E.トリチェリの本を読んで,円の求積に興味をもち,『無限小の算術』 (1655) を著わす。このなかで彼は,負の指数分数の指数を史上初めて導入した。ニュートンの微積分の創造はこの本の影響によることを,ニュートン自身が述べている。 57年の『普遍数学』は,代数,算術,幾何など,当時の数学のあらゆる分野について述べており,無限大の記号∞を史上初めて使っている。 45年以来,ロンドンで毎週,科学研究会を主催していたが,この会がのちに,ロンドン・ロイヤル・ソサエティ設立の一つの母体となった。

ウォリス

「ウォレス」のページをご覧ください。

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