改訂新版 世界大百科事典 「ウキヤガラ」の意味・わかりやすい解説
ウキヤガラ
Bolboschoenus fluviatilis(Torr.)T.Koyama ssp.yagara(Ohwi)T.Koyama(=Scirpus yagara Ohwi S. maritimus auct.non L.)
河原や沼沢地の湿地に群生するカヤツリグサ科の多年草。水底の泥土中に長く横にはった根茎があり,先端に黒っぽい皮に包まれたクワイ形の塊茎を作る。茎は塊茎から立ち上がり,高さ1mくらいで,数個の節があって,3列に並んだ線形の長い葉をつける。夏の終りに茎の頂に3~4枚の葉状苞を出し,その間に短い柄のある小穂数個をつける。小穂は楕円形で,褐色,長さは2cmくらいある。鱗片の外側に細い毛が生え,果実はひし形で三稜があり,基部に3~6本の刺針をもつ。北アメリカ産の基本変種B.fluviatilis ssp. fluviatilisのアジアの亜種に当たり,日本,中国,南太平洋に分布する。
ウキヤガラ属の植物(英名bulrush)は太くて強い根茎を四方に出すものが多く,北アメリカでは河川の土止めに利用されることがある。北アメリカのインディアンはコウキヤガラの一種B.paludosusの塊茎を食用にする。日本のウキヤガラの塊茎は硬くて食べられないが,民間薬として用いられることがある。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報