ウーラント(読み)うーらんと(英語表記)Ludwig Uhland

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウーラント」の意味・わかりやすい解説

ウーラント
Uhland, (Johann) Ludwig

[生]1787.4.26. テュービンゲン
[没]1862.11.13. テュービンゲン
ドイツ・ロマン派の詩人民謡風の抒情詩バラードで有名。テュービンゲン大学で法律を学び弁護士となり,議員にも選出された。ドイツ統一挫折後,母校の教授としてドイツ中世文学を講じた。民謡研究にも深い関心を示し,この方面での著作も多い。広く愛誦される『羊飼いの日曜の歌』 Schäfers Sonntagslied,『少年の山の歌』 Des Knaben Bergliedなどはいずれも 20歳前の作品。彼の抒情詩は簡素な美しさをもち,故郷シュワーベンの自然を素朴な感情で歌っているが,個人的抒情というより国民的民族的な感情を歌おうとしている。バラードのほか,ドイツ中世,ラテン中世に材をとった叙事詩にもその才能を発揮した。学問的な著作では『ワルター・フォン・デル・フォーゲルワイデ』 Walther von der Vogelweide (1822) が代表作。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウーラント」の意味・わかりやすい解説

ウーラント
うーらんと
Ludwig Uhland
(1787―1862)

ドイツ後期ロマン主義、シュワーベン詩派の代表的詩人。生地チュービンゲン大学で法律を修め、パリに遊学専攻法学よりもフランスやドイツの中世文学に傾倒。弁護士を経て自由・民権の闘士として州議会やフランクフルト国民議会の代議士となり活躍の一方、詩作と文学の研究を続け、学殖を認められて、一時、出身大学でドイツ文学の員外教授、ドイツ統一の夢が破れると、ドイツの中世文学や民謡の研究に専念した。その素朴な叙情詩は自然と郷土への親愛感にあふれ、洗練された格調で人々に共通心情や体験を詠じた。伝説や史実による叙事的物語詩がとくに優れ、『若きジークフリート』『良き戦友』『居酒屋の娘』などは好んで朗読され、歌として愛唱されている。民謡収集・研究の成果『ドイツ古民謡集』(1844~45)は詳しい論考・注釈付きの最初の学問的ドイツ民謡集で、ドイツの伝説や文学史の論著とともにいまなお高く評価されている。

[原 俊彦

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ぐんまちゃん

群馬県のマスコットキャラクター。人間だと7歳ぐらいのポニーとの設定。1994年の第3回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック群馬大会)で「ゆうまちゃん」として誕生。2008年にぐんまちゃんに改名...

ぐんまちゃんの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android